現場とフロントがひとつになった アビスパ社長、試合前日の手紙

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藤木健
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 5年おきにJ1で戦っては1年で降格する「5年周期」を打ち破ったアビスパ福岡。2015年に就任した川森敬史社長(55)も、このジンクス打破をめざして経営にあたってきた。

 念願を果たした今季のターニングポイントを問うと、迷わず8月9日の広島戦を挙げた。

 ホームで1点を追う終了間際、主将のMF前寛之がミドルシュート。相手に当たってゴールへ吸い込まれた劇的な同点弾で、6連敗を阻止した一戦だ。「あれでチームの士気、勢いが高まった」。以降、残留を決めるまで5勝3敗1分け。息を吹き返した。

 実はこの試合の前日、川森社長は選手側の要望もあってクラブハウスを訪れていた。クラブのトップとして、思いを語るためだった。

 冒頭、選手を前にして言った。

 「フバーラ」「タックソミュッケ」「ダンキューウェル」「グラシャス」「オブリガード」「ありがとう」

 8人の外国籍選手も含めて各選手の居住地や母国の言葉(順にセルビア語、スウェーデン語、フラマン語、スペイン語、ポルトガル語)で、感謝を述べた。

 そして手紙を読んだ。

 手紙にしたのは、通訳にあらかじめ訳しておいてもらうため。訳された手紙を片手に、外国籍選手は社長の言葉を聞いた。日本選手にとっても、同時通訳で様々な言語が飛び交って気が散らぬようにとの配慮があった。

 5月末、低迷する大分トリニータに九州ダービーで敗れた。そこから連敗。中断もあって約2カ月、リーグ戦勝利から遠ざかった。家族が来日できず、ストレスを抱える外国籍選手もいた。苦しい中、戦っていることへの感謝だった。

 手紙には、こんな思いをつづった。

 「この四半世紀、クラブの先人ができなかったことに挑んでいる。簡単じゃない」「でも、ここまで戦えてきた。これからも仲間を信じてやっていこう」「優しくなければ強くない。みんなはチームメート思いだから、つわものなんだ」

 手紙を読み終えると、大きな拍手に包まれた。「気持ちをやりとりできたというか、通わせられたというか。あの拍手は本当にうれしかった」

 コロナ禍で昨季決算は赤字で…

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