恩讐を越えた父の航空日誌 元特攻隊員や米兵が次々署名、被爆者も
伊藤繭莉
カリブ海の元英国領、セントルシアに住む男性が、第2次世界大戦中に英軍パイロットだった父親の航空日誌に、世界中の戦争体験者の署名を集めている。署名とそれぞれの体験をホームページで紹介し、戦争の悲惨さを伝えている。きっかけは、元日本兵の記事を偶然目にしたことだった。
日誌で知った父の戦争経験
署名を集めるのは、会計士のニコラス・デヴォーさん(52)。父親のシリルさんは、セントルシアが英国領だった1943年、英空軍に入隊し、カナダやイングランドでパイロットの訓練を受けたが、戦地には行かぬまま終戦を迎えた。
ニコラスさんは11歳ごろ、母親のドレッサーで父親の日誌を見つけた。97年に亡くなった父親は生前、戦争について、多くは語らなかったが、日誌を見て父親の経験を知ったという。
2016年から、この日誌に戦争体験者に署名を書いてもらうプロジェクトを始めた。第2次世界大戦に関する記事を読み、その記事を書いた記者に元軍人らを紹介してもらい、日誌を郵送して署名をもらっている。直接、日誌を持参して、話を聴くこともある。
それぞれの体験や署名する姿…