右→左→右…秘策成功 県立校が夏の全国王者・智弁和歌山を倒す

山口裕起
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 (2日、高校野球秋季和歌山県大会準決勝 和歌山東5―4智弁和歌山)

 夏の全国王者に1点差に迫られた六回だった。なお2死一、二塁のピンチで、和歌山東の米原寿秀監督が動いた。

 智弁和歌山の左打者、1番の清水風太(1年)に対し、それまで好投していた右横手のエース・麻田一誠(2年)を左翼に回し、左腕の石野涼(2年)を投入する。カウント2―2からの5球目、石野は高めの直球で空振り三振に仕留め、相手に傾きかけた流れを断ち切った。

 石野の登板はワンポイント、この5球だけだった。

 「気合を入れ直した」と、2点差とした七回のマウンドには再び麻田が上がった。だが、1死二、三塁とされ、左打席に5番岡西佑弥(2年)を迎えた。ここで今度は右翼手の左腕・山田健吾(2年)とポジションを交代した。

 山田が犠飛で1点を取られて2死になると、麻田がマウンドに戻ってこの回を抑えた。

 八、九回の智弁打線は左打者が並ぶ。ここで再登板した山田が反撃をかわし、逃げ切った。

 3人の投手による小刻みな継投がはまり、今月4日の新人戦3回戦で0―11で5回コールド負けしていた相手に雪辱した。

 試合後、米原監督は興奮気味に言った。「うちが勝つにはこういう展開しかない。理想通りの試合運びができたし、選手がよくやってくれた」。智弁和歌山打線を映像で何度も確認し、戦略を立てていたという。

 県立の和歌山東は、2010年に軟式野球部から硬式野球部に衣替えした。最速134キロの直球をコースに投げ分け、計3度登板した麻田は「一人ひとりの実力は劣るけど、みんなで助け合いながら戦えた。智弁に勝った、という自信を持って甲子園まで突き進みたい」。

 来春の選抜大会につながる近畿大会に出場できるのは、和歌山からは決勝に進んだ2チームだけ。秘策を成功させて強敵を退け、初の甲子園に一歩近づいた。(山口裕起)