愛知・大府のアサギマダラ 福島県からの飛来と判明

嶋田圭一郎
[PR]

 海を渡り、旅するチョウとして知られるアサギマダラ。9月下旬、愛知県大府市に飛来した個体が、福島県北西部から約1カ月かけてたどり着いたものであることが分かった。元気に旅を続けられれば、四国方面へ南下するとみられる。

 日本列島を縦断するアサギマダラは2千キロ以上の長旅をし、秋には沖縄県や台湾方面へ南下、春は逆に北上するとされる。

 薄青色(浅葱(あさぎ)色)の半透明の羽を持ち、ふわふわと踊るように飛ぶ姿に魅せられたファンは多い。秋の七草の一つフジバカマの蜜を吸いながら美しい羽を開く瞬間は、写真愛好家らのシャッターチャンスだ。

 謎めいた旅の実態を知ろうと、羽に捕獲場所や月日などを書き入れて放すマーキング調査も全国各地で実施されている。

 大府市横根町の市自然体験学習施設「二ツ池セレトナ」付近では、植栽されたフジバカマで9月21日、今季初のアサギマダラが確認された。館長の島田勝彦さん(63)が9月28日に撮った個体には「HHI 8/24♡」のマーキングがあり、福島市の会社員平井博さん(64)が8月24日、福島県北塩原村のスキー場で放したものと判明した。

 平井さんは2009年ごろから毎年、独自の「HHI」「♡」の記号などを記して放している。過去には長野県高山村で放した個体が、台湾海峡の澎湖諸島で確認されたという。

 平井さんが高山村でマーキングした個体の移動記録は、徳島県立博物館の研究報告にも載る。2019年には65~88日かけて492キロ離れた徳島県牟岐(むぎ)町へ、20年には78日かけて462キロ離れた徳島県阿南市へ移動していた。これらの旅の途上にある大府市にも、記録はないが立ち寄っていたかもしれない。

 平井さんによると、福島・長野方面からの南下ルートは、①愛知県三重県を通じて四国へ②兵庫県から中国地方へ③北陸から山口県、九州へ、と三つある。大府市で確認された個体は、「間違いなく四国へ向かう」と言う。

 アサギマダラの魅力は「生態が分からず、どこに行くのか、と期待が膨らむ」ところ。今季は長野から福島へ拠点を移し、北塩原村で540匹にマーキングした。平井さんは「まだまだ知りたい。やめられない」と話す。

 愛知県知多半島では、フジバカマなどを植栽してアサギマダラの「休憩地」をつくる、自治体や有志の動きが広がっている。大府市への飛来が福島からだったと知った島田館長は「自然が人と人をつなげてくれている。ドラマのようで感動しました」と喜んだ。(嶋田圭一郎)