「核のごみ」文献調査で論戦 町長選めざす2氏が政策 北海道寿都町

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伊沢健司、鈴木剛志
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 「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場の選定に向けた全国初の文献調査が進む北海道寿都町で、町長選(21日告示、26日投開票)が間近に迫っている。調査応募を推し進めて6選をめざす現職の片岡春雄氏(72)と、調査撤回を掲げる前町議で新顔の越前谷由樹氏(69)の一騎打ちとなる公算が大きい。2人は2日夜、地元ケーブルテレビ局と北海道新聞の共催で開かれた「政策発表会」で、町民を前にそれぞれの主張を訴えた。

 町長選は過去4回連続で無投票だった。20年ぶりの選挙戦となる見通し。結果しだいでは、昨年11月に始まった文献調査が中止になる可能性がある。同じ後志地域の神恵内村でも調査が進むが、寿都町で中止となれば、国と事業主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)は計画の練り直しを迫られる。

 この日の政策発表会は、司会者が2人に共通の質問をする形式で約90分続いた。来場者との質疑や、2人が互いに質問することはしなかった。町民約130人が訪れたほか、インターネットでライブ中継された。

 立候補の理由を尋ねる質問で、町長選の争点について両者の違いが明らかになった。

「文献調査」推進か撤回か

 片岡氏は「新型コロナの感染拡大で漁業や商店街は大変な打撃を受けている。景気対策で地域経済を回復させる」と述べた。かねて文献調査の是非は争点にならないと発言しており、この日は「(文献調査の)交付金が地域振興に寄与する」と訴えた。

 一方、越前谷氏は「政策の要は、核のごみの受け入れに反対し、文献調査を撤回すること。賛成、反対の分断を解消しなければ、まちづくりの基本も論じられない」と述べた。そのうえで「海、山、川に恵まれた寿都を永遠に残していく」と語った。

 処分場の選定プロセスは20年に及ぶ。既存の論文やデータを用いる第1段階の文献調査が2年、実際に穴を掘る第2段階の概要調査が4年、地下施設をつくる精密調査が14年と続く。地元と周辺の自治体が受け取れる国からの交付金は、文献調査が最大20億円、概要調査が最大70億円。精密調査での交付金は未定だ。

 この交付金について片岡氏は、町内の福祉施設や清掃センターの改築で合計85億円の出費が見込まれることなどに触れ「今から貯金をしておかないと、大きな事業をやるときにそのお金をどうするのか」と、町の将来に必要なお金だと訴えた。

 越前谷氏は、文献調査の賛否をめぐり町民が分断されていることを踏まえ「ふるさとの将来に犠牲を払ってまで交付金を求めることは町民の幸せ、ふるさとの発展につながらない。ふるさとの自然はお金では買えない」と述べた。

 町税収入は、片岡氏が推進し…

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