小学校教科書に登場する「習おじいさん」 中国で進むある「変革」

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北京=冨名腰隆
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 一国の最高指導者の思想を、子供たちが必修科目として学ぶ。中国共産党はいま、習近平(シーチンピン)総書記(国家主席)の権威をかつてないほど高め、改革開放から次の時代に進む大きな「変革」を進めている。

 「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想学生読本」

 中国東北地方で国際関係を教える30代の大学教員男性は、中国が新年度を迎えた9月上旬、小学校4年生の息子が学校から配布された教科書を手に取った。

 歴代指導者は自らの政治理念を掲げ、それらは「毛沢東思想」や「鄧小平理論」という形で党の憲法である「規約」に記されている。習氏の思想も、2017年の党大会で規約に書き込まれた。

 各指導者の政治理念を学ぶ授業はこれまでもあったが、今回は習氏の思想だけが1冊の教科書として作られ、小学校から大学までの必修科目となった。中国政府が発表した学習指導ガイドラインは「民族復興の大任を担う後継者育成のため、学生の頭脳を習氏の思想で武装しなければならない」と狙いを説明する。

 小学生向けの教科書では、習氏を「習おじいさん」と呼び、親しみのあるリーダーとして描く。小学校では「習氏が全党全国人民の道案内人であることを知り、党の指導を堅持してこそ偉大な復興が実現できることを学ぶ」(ガイドライン)という。

 だが、男性はある記述にページをめくる手を止めた。2019年にイタリア下院議長と習氏が会談した際のエピソードだった。

 議長「国家主席に選ばれた時の心境は?」

 習氏「これほど大きな国の責…

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