第1回岸田首相はお公家集団のプリンス カギは苦労人・池田勇人の教え

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聞き手・池田伸壹
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 岸田文雄政権の登場は、戦後日本政治の歴史的文脈の中で、どんな意味を持つのか。半世紀以上にわたって日本政治外交史と国際政治を研究し、与野党の政治家をはじめ、政策決定に関わった当事者へのインタビューを行ってきた政治学者の原彬久さんに聞きました。

 はら・よしひさ 1939年生まれ。東京国際大学名誉教授。著書に「岸信介」「吉田茂」「戦後史のなかの日本社会党」「戦後日本を問いなおす」など。「戦後政治の証言者たち」で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。訳書にモーゲンソー「国際政治」、カー「危機の二十年」など。

 自民党総裁に選ばれた際、岸田文雄首相は「丁寧で寛容な政治を進める」と発言しました。同じ広島選出で、現在の自民党岸田派である「宏池会」の創設者・池田勇人が61年前に首相になった際の「寛容と忍耐」、これを意識しているのは間違いないでしょう。

 この言葉は、いずれも池田の側近で後に首相になった2人の合作です。「忍耐」が大平正芳、「寛容」はJ・S・ミルの言葉から宮沢喜一が進言したものです。総裁選で岸田首相が掲げた政策にも、池田内閣の「所得倍増」や宮沢内閣の「生活大国」を髣髴(ほうふつ)とさせるものがあります。具体的な中身はこれからでしょうが、新自由主義からの転換や日本型の資本主義を目指すその根底には、宏池会の伝統が感じられます。

初代会長・池田勇人にあって岸田新首相にないもの

 宏池会政権の誕生は、宮沢政権の発足以来30年ぶりのことです。この派閥には「抑制的に行動するお公家集団」といった評価が定着しています。このお公家集団のプリンスとされた岸田首相は、祖父も父も衆院議員を務めた世襲政治家で、恵まれた経歴を歩んできました。父親の秘書になって以降も、厳しい選挙や激しい政治闘争を勝ち抜いてきたとは思えません。

 しかし、宏池会初代会長の池…

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