大谷翔平、飛躍の1年 型にはめずに練習量を調整

シアトル=坂名信行
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 大リーグ・エンゼルスの大谷翔平(27)は今季46本塁打とし、ア・リーグの本塁打王争いは3位に終わった。3日(日本時間4日)にレギュラーシーズンの全日程が終了し、タイトルが確定。リーグトップは、ともに48本塁打のペレス(ロイヤルズ)とゲレロ(ブルージェイズ)だった。大谷は2004年に松井秀喜(ヤンキース)が記録した日本選手最多の31本塁打を大幅に更新。07年の松井秀以来の100打点、08年のイチロー(マリナーズ)以来の100得点、96四球は09年の福留孝介(カブス)の93を超えて最多など、数々の日本選手の記録を作った。

 今季最終戦前の朝、私服姿で帽子を後ろにかぶり、きりっとした表情の大谷が言った。「変わらず最後まで1打席、1打席、自分の打席をしたいと思います」

 プレーオフに出られなくとも、この試合が何試合目だろうと日々、野球をうまくなろうとする27歳が1打席目に見せた。「1番・指名打者」で打席に立ち、カウントは1―1。真ん中の甘いカットボールを右翼へ力強く打ち込んだ。

 ダイヤモンドを回る大谷には、プレーオフ進出へ勝利を信じていたマリナーズファンからブーイングが起こった。

 投手をしながら46本のアーチをかけた。昨年まで中堅方向へ器用さが光る打撃が印象的だったが、今季は甘い球は引っ張って本塁打にし、投手へ重圧をかけられる打者に成長した。

 カメラやレーダーで球の動きを追跡し、数値化する大リーグのシステム「スタットキャスト」で本塁打の右翼と右中間方向の打球は、2018年は22本中7本(約32%)、19年は18本中3本(約17%)、20年は7本中1本(約14%)。今年は46本中27本(約59%)と激増。しなやかさに加え、体が見るからに大きくなるほどの筋力アップに成功した結果だ。

 後半は本塁打のペースが落ちた。6月は13本、7月は9本、8月は5本、9、10月は4本。「二刀流の疲れ」と言うのは安易だ。四球は6月が16個(うち敬遠2)、7月が16個(3)、8月は21個(5)で9、10月は27個(9)。際どく攻められる一方、勝負を避けられることも増えた。

 大谷が「(ボール球に)少し強引になっているのかな」と言ったのは9月19日。敬遠の多さも、終盤に来てマークが厳しくなった証拠だ。マドン監督はトラウトら主力が離脱したことを一番の理由に挙げた。

 日本のプロ野球より過密日程でこなす162試合は過酷だ。出続けるために練習量を調整、グラウンドに現れる時は登板前のキャッチボールとブルペンに入る時ぐらいで、屋外での打撃練習はほぼしていない。

 「今年は大きな離脱をしないようにリカバリーをメインにやってきた」と大谷。マドン監督も「限られた準備がうまくいっている。彼は本当に自分自身の状態を把握できている。一般的な先発投手がやるような登板間のトレーニングはせず、型にはまらない感じで練習量を落としてやっている」と称賛。大谷は投手に専念した3試合のほか、投手を兼務した試合を含め、打者として155試合に出た。

 今年2月、米アリゾナ州テンピの春季キャンプでマドン監督は大谷と起用法などについて話し合った。「私はテンピの会議室で彼と話した。彼は主に足が疲れていると感じたら、1日休む必要があることは分かっていると言った。ただ、彼の走りは1年間変わらなかった。今年の彼が精神的にも肉体的にもどれだけ耐久性があるか、それが明らかになった」と感嘆した。

 大谷の今季の成績を見返してみる。46本塁打、100打点、103得点、96四球、26盗塁。どれもア・リーグトップレベルだ。投手としては、23試合で130回と3分の1を投げて9勝2敗、156奪三振、防御率3・18を記録。役割が分担される現代野球でまさに2選手分の成績を残した。

 「トレーニングはもっとハードなものにして。まだまだ上にいけると思って、今年以上のパフォーマンスが出せるようなオフにしたい」。二刀流を通した最初のシーズンは無事に終わった。本塁打王のタイトルは来年以降の格好の目標になった。(シアトル=坂名信行)