被爆地初の首相に、遠縁のサーローさん「勇気を出して正しい方向に」

核といのちを考える岸田政権発足へ

岡田将平
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 新首相に就任した岸田文雄氏(64)は、原爆ドーム平和記念公園のある広島1区選出だ。「被爆地」選出の初の首相として核兵器をめぐる問題にどう向き合うのか。遠い親戚にあたり、世界各地で核兵器廃絶を訴えてきた被爆者サーロー節子さん(89)は朝日新聞の電話取材に対し、米国の「核の傘」に依存する日本政府の姿勢に強い懸念を示し、岸田氏に「勇気を出して正しい方向に進んでほしい」と期待を込めた。

 カナダ在住のサーローさんは、2017年のノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)とともに活動してきた。

 日本は被爆国でありながら、今年1月に発効した核兵器禁止条約の署名・批准に後ろ向きだ。日本政府が重視する核抑止論に対して、サーローさんは「怖い兵器を使って、何百万、何千万の人を一瞬にして焼き殺してしまう用意が我々にはできているんだぞ、と脅し合うなんてばかげたこと」と思い続けてきた。

 岸田氏は外相時代の16年、核禁条約をめぐる交渉会議に「積極的に参加し、主張していきたい」と述べたが、政府内の強い反対を説得できずに翌年に不参加を決めた。その際、核保有国が参加しなかったことを挙げ、「核兵器国と非核兵器国の対立を深めるという意味で逆効果にもなりかねない」と釈明した。

 サーローさんは、首相としての岸田氏のリーダーシップに期待する。日本政府に核禁条約への署名・批准を求めるほか、来年3月に開かれる予定の締約国会議に少なくともオブザーバーとして参加すべきだと考えている。「(条約参加国が)どういう問題をどういう風に解決しようというのか、身をもって理解するためにも出席すべきだと思います」

 サーローさんは4年前のノーベル平和賞の授賞式で、広島で被爆して亡くなった4歳のおいのことを語った。その子の姓は「岸田」。岸田文雄氏の遠戚で、広島県東広島市の岸田家の墓に遺骨が納められている。岸田氏も自著で、サーローさんや英治さんのことに触れている。(岡田将平)

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