成長と分配をどう実現 岸田内閣発足、経済立て直しの課題は

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久永隆一、石川友恵、吉田貴司 高木真也、平井恵美 若井琢水、小野太郎
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 4日発足した岸田内閣は、コロナで落ち込んだ日本経済の立て直しが課題となる。最大の柱である「成長と分配の好循環」の実現に向け、どのような分配政策や成長戦略を進めていくつもりなのか。

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緊急事態宣言解除後初の週末を迎えた横浜中華街の通り。岸田内閣は感染の再拡大を防ぎつつ、経済活動の水準の引き上げを図っていくことになる=2021年10月2日、横浜市中区、土居恭子撮影

 「分配なくして、次の成長はない」。岸田文雄首相は4日夜の会見でこう話し、経済成長だけではなくその分配に力点を置く姿勢を鮮明にした。安倍・菅政権下の「アベノミクス」が格差を広げたとの批判を踏まえ、「格差是正」を独自のカラーとして打ち出したい考えだ。子育て世帯の支援や看護師らの賃金底上げなどを掲げるが、分配の「元手」となる財源を確保できるかは見通せない。

 首相がこだわっている支援策について、社会保障政策を担う厚生労働省内では「バラマキが目立つ政策をどう形にしていくのか、具体性がまだ見えない」(幹部)との声も上がる。

 柱の一つが、子育て世帯への住居費や教育費の支援だ。だが同じ幹部は「前例がない」として、制度設計が課題になるとみる。

 医療や介護、保育で働く人たちの賃金アップも掲げる。こうした病院や特別養護老人ホーム、保育所といった分野のサービスは基本的に国が決める「公定価格」。4日の会見は「公的価格のあり方の抜本的見直しを行う」と断言。新たに検討委員会を設ける方針だ。ただ、公定価格を引き上げても、働き手の賃金上昇にそのまま反映されるかは分からない。利用者側の負担増につながらないか、といった懸念もある。

 会見ではこのほか、コロナ禍で生活が苦しい「弱い立場の方々に個別に現金給付を行うこと」も検討するとした。フリーランスなども含め働く人すべてに社会保険を適用して、セーフティーネットを広げることも持論だ。

 高齢化に伴い、社会保障費は年々膨れあがる。首相が政策を実現するために必要な財源は巨額だ。どう確保するかについて、首相は自民党総裁選中も、しばらくは国債でまかなう方針を示すにとどまっている。

 増税についても「考えない」と発言してきた首相だが、格差の是正につながるとする「金融所得課税」の強化には意気込みを示す。

 所得税の負担率は、給与所得では所得が増えるほど税率が上がる累進制で最大45%だが、株の売却益や配当にかかる金融所得税は一律20%。富裕層は金融所得が多いため、所得が1億円の人を境に所得税の負担率が下がっている。

 首相は4日、「『1億円の壁』ということを念頭に金融所得課税について考えてみる必要がある」と言及した。来年度の税制改正に向けて議題となる可能性がある。だが、一律に税率を引き上げた場合、低所得者も増税となり、効果を疑問視する見方があるほか、株式投資の魅力が下がることで株価の下押し圧力となることも懸念される。また、消費増税などに比べると、金融所得課税の強化で得られる財源は大きくない。

 支援の拡充と財源の確保を両…

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