銭湯に3倍近い客、飲料水の在庫は底をつき 和歌山の水道橋破損

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 和歌山市紀の川にかかる六十谷(むそた)水管橋が3日に切れて落ちた事故で、尾花正啓市長は4日夜会見し、隣の六十谷橋に仮設のバイパス管を通す応急復旧作業を6日から始める見通しがたったと発表した。8日中の送水開始を目指すという。

 市によると、6日に材料が搬入され、着工する予定。8日に紀の川北側の配水池に貯水を始める。尾花市長は「配水池にたまって、9日朝には使えるようになると思う」と話した。六十谷水管橋が本復旧するまでは六十谷橋が通行止めになる。

 続いている断水は4日も市北部の約6万世帯(約13万8千人)の生活を直撃した。

 和歌山市は4日午前7時、ほかの自治体や自衛隊に協力をあおいで、紀の川以北の小学校など22カ所に給水所を開いた。以南の公共施設(17連絡所、12支所、4コミュニティセンター)にも給水所を設けた。

給水所

 貴志南小では、ポリタンクややかんを手にした住民が早朝から列をつくった。仕事を休んで駆けつけたという会社員の男性(65)は「復旧するまで毎朝こうやって並ぶしかないのか」。

 野崎小を訪ねた藤田弘子さん(68)は、腰が悪い夫の昌之さん(73)と一緒に四つのポリタンクを車に運んだ。「水は重たいねえ」と弘子さん。「あんな大きな水管橋が崩落するなんて。管理ができていなかったのか」と昌之さん。

店、銭湯、ホテル

 近隣のスーパーやコンビニエンスストアには3日夜から、飲料水、紙のコップや皿、割りばしを求める客が押しよせている。

 「食品館 サンキョー北島店」の北起一店長によると、3日夜に飲料水の在庫が底をつき、4日朝に2リットルのペットボトルが6本はいった箱を100ケース取り寄せた。それも半時間で売り切れたといい、4日午後からは「1人3ケースまで」の購入制限をかけた。

 同市古屋で喫茶店「アロア」を営む木寺純夫さん(71)と千恵子さん(66)夫婦は4日早朝、自宅で容器にくんだ水を店に運んだ。純夫さんは「今日はいつも通りにコーヒーや紅茶を提供もできましたが、これがずっと続くとなるとどうなるか」。

 紀の川の南側にある銭湯「幸福湯」。3日夜はいつもの3倍近い客が来たため営業を0時過ぎまで延ばした。4日も断水地域からの問い合わせが相次いだ。

 和歌山市西庄の主婦(49)は、日用品店でポリタンクを買う長蛇の列に並んだあとの4日昼に母と娘をつれて幸福湯に来た。「すでに疲れた。これから洗濯や食事をどうしていけばいいのか」。和歌山市梶取の会社員の女性(51)も、海南市のドラッグストアで2リットルのペットボトル10本をやっと入手したといい、「水を手に入れてもトイレを数回流したら終わり。こんな生活は3日が限界です」。

 「ホテルきのくに」は4日、宿泊の予約客に断水の状況を説明する電話かけに追われた。1階のレストランを休業とし、2~5階の客室は水槽の水を使う。支配人の伊東浩司さん(56)は「水槽の渇水を知らせるブザー音がいつ鳴るのか不安。はよ復旧してほしい」。

病院

 和歌山市の企業局営業課によると、断水している地域には、人工透析を手がけている病院が五つ、救急指定病院が二つある。給水車を優先的に巡回させているといい、いずれも通常通りの診療をしているという。

 303病床がある和歌山ろうさい病院の担当者は「コロナ禍もあって衛生管理には水が不可欠。院内のトイレなどで節水の協力を呼びかけている」と話した。

学校

 紀の川以北にある和歌山市立の1高校、8中学校、23小学校、5幼稚園は4日、臨時休業になった。幼稚園と小学校は6日まで休む。中学校と高校は5日は午前中の登校とし、6日からオンライン授業をする。

 和歌山大学は5日と6日を休校とし、7~13日はリモート授業にすると発表した。

原因「わからない」

 「まさか落下するとは考えていなかった」。尾花正啓市長は4日朝の緊急会見で戸惑いの表情を見せた。

 六十谷水管橋は、紀の川の南にある加納浄水場から北に上水をおくる唯一の水路で、2016年3月に耐震の落橋防止工事を終えたばかりという。尾花市長は4日夜の会見で、専門家に原因を調べてもらう考えを明らかにした。

 断水に関する問い合わせは和歌山市の専用電話(073・435・1353)へ。