同時に届いた2通の通知に涙 変わる高卒の就活、1社から何社でも

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加藤あず佐
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 高校生は就職活動を始めた時点で、「1人1社」にしか応募できない――。半世紀以上ほぼ全国で続いてきたこのルールが和歌山で今年度から変わり、全国で初めて何社でも受けられるようになった。選択肢が広がる一方で、生徒が主体的に進路を選ぶためのキャリア教育の重要性が浮かび上がった。(加藤あず佐)

1通目「不採用」にため息 2通目は……

 9月27日午後、和歌山県和歌山北高校北校舎(和歌山市)の進路指導室に、3年生の生徒数人が訪れた。就職活動での採否を聞くためだ。

 近藤世菜さん(17)の元に教員が2通の手紙を持ってきた。1通目を恐る恐る開くと「不採用」の通知。深くため息をついて2通目を開くと、今度は「採用通知書」の文字が目に飛び込んだ。驚いた表情から笑顔に変わり、やがてポロポロと両目から涙がこぼれた。

 幼い頃から車好きの父とのドライブが好きで、自動車整備士を志望していた。トラック、外車、軽自動車など様々な車種を扱う自動車販売会社を数社見学。「家族連れが安心して車に乗れるようサポートがしたい」との思いが強まり、2社に応募した。

 選考を通じ、客層、社風、男女比など2社の違いがわかった。異なる魅力があり、最後は会社に適性を判断してもらうことにした。「2社とも自分をアピールすることができたので、結果に悔いはない」

 今年9月16日に各企業の採用選考が解禁された。しかし、和歌山県では昨年まで、この時点での「併願」ができなかった。複数社を受けられるのは10月以降で、受けるのは主に不採用となった生徒だった。

 大半の生徒が1社だけを受け内定辞退もできない――。県はこの制度がミスマッチを招き、県内で高卒者の3年以内の離職率が4割超(推計)もある一因と分析した。

和歌山はなぜ、複数応募制に踏み切ったのでしょうか。複数制のメリットや他の都道府県に広がるのかを後半で探ります。

■「校内選考で落ちるより納得…

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