スリランカ人強制送還の違憲判決確定へ 国が上告断念の方針

村上友里
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 スリランカ国籍の男性2人が難民不認定の取り消しを求める訴訟を起こす前に、出入国在留管理庁が2人を強制送還したのは憲法違反だと認めた東京高裁判決について、国が最高裁への上告を断念する方針を固めた。関係者への取材でわかった。

 上告期限は6日。最高裁は原則、憲法や判例の違反がある際に上告を受けるが、国側は上告理由がないと判断したとみられる。原告側も上告しない方針で、「(同庁側が)憲法32条で保障する裁判を受ける権利を侵害した」とした国側敗訴の高裁判決が確定する見通しだ。

 9月の高裁判決によると、2人は2014年、難民不認定への不服申し立ての棄却を知らされた翌日に強制送還された。判決は同庁が棄却を知ったのは2人に知らせる40日以上前だったことをふまえ、「訴訟の提起前に送還するため意図的に棄却の告知を遅らせた」と指摘。「司法審査の機会を奪うことは許されない」と説明し、国側に計60万円の賠償を命じた。

 同庁は、今年1月の名古屋高裁判決で棄却の告知翌日に強制送還した対応が違法と判断されたことを受け、告知後2カ月以上たってから送還するよう運用をすでに見直している。このため上告せずに東京高裁判決が確定しても、入管行政への影響は少ないとも判断したとみられる。(村上友里)