ドラフトを待つ佐藤輝2世 中学は軟式、高校は公立を選んだのはなぜ

伊藤雅哉
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スポーツ好奇心

 プロ野球ドラフト新人選択)会議が11日に迫った。「輝(てる)2世」の異名を持つ市尼崎高(兵庫)の米山航平外野手(17)も指名を待つ一人だ。プロ野球阪神の大型新人、佐藤輝明外野手(22)に似た雰囲気があり、そう呼ばれている。中学は軟式野球部で、高校は公立。早くから硬式球を握る選手も珍しくない中で、なぜその道を選んだのか。

 体格だけでなく、笑った顔もどことなく似ている。「自分が2世でいいの? と思いましたけど、注目されてありがたかったですね。佐藤選手は体が分厚いなあと思って見ています」

 米山は身長188センチ、体重95キロの左打者。試合に出始めた1年秋からスカウトの注目を集めてきた。昨年冬、スイングスピードを計ると160キロを計測したという。機器によって違いはあるようだが、プロでもトップクラスの数字だ。練習試合では左中間後方の校舎5階の窓に打球を当てた。推定飛距離は130~140メートルだ。

 今春、スカウトらの間で「輝2世」と呼ばれるようになった。粗削りで通算本塁打は10本強だが、50メートル走5秒9、遠投110メートルと身体能力が高い。

 今夏の兵庫大会5回戦で報徳学園に敗れ、すぐにドラフトへ気持ちを切り替えた。「200日前くらいから意識していて、あと何日かと数えています。具体的な目標設定が大事で、減っていく数字があると頑張れますから」。17歳とは思えないほど、言葉に筋道が立っている。趣味は読書。今はサッカーのクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)の本を読んでいるという。

 小中学生で硬式球を握り、そのまま高校野球の強豪校に進むケースも多いが、米山は違った。選んだのは「大器晩成の道」と言えるかもしれない。

 神戸市のなぎさ小5年の時、友人に誘われて野球を始めた。中学では硬式チームに入ることも考えたが、両親と相談した上で学校の軟式部を選んだ。父・武さん(62)はバスケット、母・尚子さん(52)はバレーの経験者。成長期に入る体のことを考えた上での選択だった。父は身長181センチ、母も170センチあり、米山は中学3年間で20センチ以上伸びて184センチになった。市尼崎への進学は練習体験会で雰囲気の良さを感じて決めた。

 この経歴は佐藤輝に重なる部分も多い。佐藤輝は小6の時に右ひじを痛めたこともあり、中学は軟式部でプレー。高校も強豪校とはいえない私立の仁川学院(兵庫)に進み、3年夏の兵庫大会は1回戦で敗れた。素質が開花したのは近大に進んでからだった。

 違いがあるとすれば、米山がまだ本格的なトレーニングをしていない点だ。佐藤輝は高2秋から自室に器具を置き、ウェートトレーニングに没頭したが、米山はまだ体の成長が止まっていないため、重い負荷をかけた強化はしていない。バットを振ったり、腕立て伏せをしたりが中心だ。それでも、入学時から体重は20キロ増え、ユニホームは3サイズアップした。太もも周りは71センチ。「これから上の世界で技術指導され、本格的に鍛えたらどうなるのか。自分でも楽しみです」と笑う。

 まだ何の実績もなかった1年の冬、米山は両親に「プロに行きたい」と宣言したという。おおらかで「根拠のない自信」を持てるプラス思考――。阪神担当として佐藤輝も取材する私は、そこにも共通するものを感じた。

 運命の日を待つ心境を問うと、「選ばれる立場ですから。なるようにしかなりません」。きっぱりと言った。伊藤雅哉