元農水相への贈賄を認定 鶏卵業者に猶予付き有罪判決

原田悠自、金子和史
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 農林水産相在任中の吉川貴盛被告(70)に現金を渡したとして贈賄罪などに問われた鶏卵大手「アキタフーズ」(広島県福山市)の前代表・秋田善祺(よしき)被告(87)に対し、東京地裁(向井香津子裁判長)は6日午前、懲役1年8カ月、執行猶予4年(求刑・懲役1年8カ月)の有罪判決を言い渡した。

 起訴状によると、秋田前代表は2018年11月~19年8月に計3回、大臣だった吉川元農水相に対し、都内のホテルや大臣室で計500万円を渡した。

 現金提供の際に、「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の理念に基づき、鶏をケージに入れる日本の飼育手法に否定的な飼育基準を示した国際機関に反対するよう要望。養鶏業者に対する日本政策金融公庫の融資条件の緩和も依頼した。

 検察側は論告で、秋田前代表が賄賂によって農林水産行政の重要政策に影響を及ぼそうとしたと批判。大臣就任前から現金を渡していたことで「賄賂への抵抗感が希薄になったことにもつけ込んだ」と指摘した。

農水相側は無罪主張「あくまで政治献金」

 弁護側は最終弁論で、現金の趣旨について「私利私欲でなく業界全体のためだった」と説明。吉川元農水相とは大臣就任前から陳情や相談をする間柄で「悪質性が顕著とは言いがたい」と主張した。

 収賄罪に問われた吉川元農水相側は自身の公判で、500万円を含めて大臣在任前後に総額1800万円の現金を秋田前代表から受け取ったと明かしている。ただ「あくまで政治献金という趣旨と受け止めた」と述べ、賄賂ではないと無罪を主張している。(原田悠自、金子和史)