「自分は社長」うそ発覚し殺害、起訴内容被告認める 熊大研究員殺害

屋代良樹
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 熊本市で昨年9月、熊本大学の特定事業研究員の女性(当時35)を殺害したなどとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた住所不定、無職熊谷和洋被告(68)の裁判員裁判が5日、熊本地裁(平島正道裁判長)で始まった。熊谷被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 起訴状によると、熊谷被告は昨年9月6日、当時住んでいた熊本市中央区本荘3丁目の自宅の集合住宅出入り口付近で、女性の首をひものようなもので絞めて窒息死させて殺害し、両足を引っ張るなどして近くの側溝に遺体を遺棄したとされる。

 検察側の冒頭陳述によると、熊谷被告は女性が住むマンションの清掃員をしており、昨年4月に知り合った。「マスクを開発して寄付したいので、デザインを考えてほしい」「自分は社長で、大学の学生を支援したい」などとうそを言い、女性に近づいたという。検察側は、9月6日にうそが発覚し、非難した女性に対して熊谷被告が腹を立て、殺害に及んだと主張した。

 これに対し弁護側は、起訴内容を「争わない」と認める一方、熊谷被告は自らうそを明かして謝ったが、女性から責められたため「黙らせるために首を絞めた」と説明。「強い殺意はなく、計画性がない」などと主張した。凶器は自転車に荷物をくくるためのひもだったと説明した。

 被告人質問では、熊谷被告は女性に近づいた理由を「話し相手がほしかった」と説明。事件前にも20~30代の女性数人に対し、うそをついて近づこうとしたことがあったと認めた。検察から「若い年代の女性と仲良くなりたかったのではないか」と問われると、「はい、そうです」と答えた。

 殺害の状況については「口をふさごうと思った。ずれて首のほうにいった」「無我夢中になり、自分でもどうなるのかわかりませんでした」と話した。

 検察が提出した証拠によると、女性は少なくとも3分以上首を絞められ、窒息死した。熊谷被告の左腕には、女性が抵抗した際にかみついた痕が残っていた。(屋代良樹)