スリランカ女性のビデオ映像、地裁で開示 遺族ら視聴し「ショック」

鬼室黎、編集委員・北野隆一
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 名古屋出入国在留管理局の施設で死亡したスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)を施設内で撮影した監視カメラのビデオ映像の一部を、出入国在留管理庁が遺族と弁護団に見せた。遺族側の申し立てを受けて名古屋地裁が証拠保全を決定。入管庁が1日、地裁内で映像を再生した。遺族側が5日に記者会見し明らかにした。

 決定は9月6日付。入管庁は2月22日からウィシュマさんが死亡した3月6日までの13日間、計約295時間分をDVD39枚に収録。日本滞在中の妹ポールニマさん(27)と弁護団に対し、今月1日に地裁内で映像の一部を約2時間半かけて見せたという。入管庁は8月12日、2時間に編集した映像の一部を遺族に見せたが、遺族が求める弁護士の立ち会いや映像データの引き渡しは拒んでいた。

 映像を見た駒井知会弁護士は「3月3日、職員がスプーンでウィシュマさんの口に食べ物を含ませるが、すぐ吐いてしまう。職員は間を置かず『はい次』と言って与え、また吐いてしまう。口から食べるのが難しい状態なのに食べさせようとすること自体、きわめて残酷に見えた」と語った。

 指宿昭一弁護士は「3月5、6日は職員が目の前で手を振り、名前を呼んでも反応がない。上半身を起こしても首がすわらない。なぜすぐ救急車を呼ばなかったのか」と憤った。

 ポールニマさんは「最終報告に書かれていないことがビデオに出ていると確信した。ビデオでの姉の姿が頭から離れず、眠れない。みなさんが見てもショックを受けるような映像だと思うが、ぜひ全面開示してほしい」と語った。

 遺族らは、ウィシュマさんの病死は入管の取り扱いに問題があったためだとして、日本政府の責任を問う国家賠償請求訴訟を近く起こす方針。ただ映像について指宿弁護士は「裁判で半年も1年もかかってようやく出すのではなく、法務省入管は一日も早くすべての映像データを渡してほしい」と求めている。(鬼室黎、編集委員・北野隆一