元プログラマー栽培のイチジク 肥料にワイン搾りかす使いブランド化

西江拓矢
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 大阪府羽曳野市でイチジクを栽培する農家が、地域で廃棄処分されるブドウの枝やワインの搾りかすを堆肥(たいひ)にして、イチジクを栽培しブランド化する取り組みを進めている。資源を地域循環させることで、持続可能な農業を目指している。

 取り組むのは、「ハッピーファーム」を営む吉川幸一郎さん(39)。元プログラマーで、農業とは縁がなかった。

 企業の農業参入やICT(情報通信技術)を使ったスマート農業などで、世の中の農業への関心が高まる一方、担い手は不足している。もともと独立志向があった吉川さんは、就農を決意。羽曳野市にある府の農業大学校で学んだ後、昨年春、新たに農業を始めた。

 自身が好きだったことや、消費地に近く完熟の状態で出荷できるメリットがあることから、イチジクを選んだ。計70アールほどの畑で、イチジクと野菜を栽培。化学合成農薬を極力控えるなど、環境に配慮し、自然に即した農業を目指している。農場名は、「おいしい物を食べてお客さんに笑顔になってもらったら、僕らも笑顔になれるから」との思いを込めた。

 羽曳野市は、イチジクとブドウの産地で、ワイナリーもある。ブドウ農園で出る剪定(せんてい)した枝、ワイナリーから出る搾りかすは廃棄されることが多いが、堆肥にすれば資源として有効に活用でき、地元で循環できるのではないか。吉川さんはそう考えた。さらに、この循環型農業のストーリーを生かしたブランド化を目指している。

 細かくチップにしたブドウの枝と搾りかすを冬場に2カ月ほどかけて堆肥にし、来年春に畑にまく予定だ。「ブランド化で、羽曳野のブドウとイチジクをもっと知ってもらうきっかけになれば。産地を盛り上げたい」と意気込む。

 資金集めと取り組みの認知度向上のため10月下旬まで、クラウドファンディング(CF)にも挑戦している。目標は20万円。ブランド化に向けたロゴのデザイン作成などに充てる予定。寄付してくれた人への返礼品は、イチジクや、季節の野菜などだ。詳しくは、CFのサイト(https://camp-fire.jp/projects/view/379398別ウインドウで開きます)。(西江拓矢)

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