家庭向けも工場も、自由化の競争回避か 中電・東邦ガス立ち入り

近藤郷平、内藤尚志
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 中部電力と販売子会社の中部電力ミライズ、東邦ガスの3社に5日、受注調整の疑いが浮上した。公正取引委員会の立ち入り検査の対象は、大口顧客向けの電気・ガスの販売だとされる。各社にとっては収益の柱だ。経営を安定させるために、自由化による競争を避ける行為があったのかどうかが問われそうだ。

 3社が地盤とする東海地区は、自動車産業などの大口の優良顧客が多い。だが、政府は1990年代から電力とガスの市場で段階的に規制を撤廃し、新規参入も促してきた。競争によって料金の値下げやサービスの多様化につなげるためだ。各社とも自由化前に囲いこんだ顧客を奪われる可能性に直面していた。

 3社は今年4月、小口顧客である家庭向けの販売でも立ち入り検査を受けている。自由化後は中部電はガス、東邦ガスは電気にそれぞれ参入しているが、カルテルを結んでいた疑いがあるとされた。

 各社とも公取委の調査に協力するとしたうえで、中部電の林欣吾社長は「自由化を機に競争が激化している」とし、東邦ガスの冨成義郎前社長も「(顧客を)一生懸命、獲得するよう努めている」と説明していた。新たに大口顧客にも疑惑が広がり、あらためて自由化にどう向き合っていたのかが問われる。

 電力とガスの国内市場は人口減や省エネで先細りだ。中部電は海外や生活関連、東邦ガスは不動産などの事業に力を入れているが、いずれも大きな収益になるめどは立っていない。それだけに、国内の電気・ガスの販売で競争を避けられれば、メリットは小さくない。中部電は関西電力などとの間でも、お互いに営業活動を制限した疑いが持たれており、公取委が調査中だ。

 中部電力ミライズの大谷真哉社長は5日に名古屋市内であった記者会見で、公取委の検査について「真摯(しんし)に受け止めていて、調査に全面的に協力する」と話した。だが疑惑を自社でも調べているかは「回答を控えたい」と明かさなかった。(近藤郷平、内藤尚志