「スキ」が愛称の真鍋氏、ゆかりの人も喜び 「気楽なおっさん」評も

【動画】米ニュージャージー州の自宅でインタビューに答える真鍋淑郎・米プリンストン大上級研究員=藤原学思撮影
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 真鍋淑郎さんのノーベル物理学賞受賞が決まり、真鍋さんを知る人からは喜びの声が上がった。

 「憧れの研究者。ニュースを見て、思わず拍手をしてしまった。本当におめでとうございます、と伝えたい」。気象庁で予報課長をしていた古川武彦さん(81)は喜んだ。

 天気予報や台風の進路予想は今や、1週間近く先まで出るようになった。おおもとに、真鍋さんの研究があるという。「世界の研究者の誰もが、シュクロウ・マナベの名を知っている。雲や地面の影響を細かく、根気強く、寝食も忘れて確認してくれたお陰で、地球規模の気候を再現し、予測もできるようになった」とたたえた。

 プリンストン大を訪問した際には応対してくれたといい、「世界的な研究者なのに偉ぶることなく、気さくで、他の研究者の意見にも耳を傾けられる。一方で若い頃には、自身の研究方針が上司と衝突した際にも自分の考えを貫いたことがあったと聞いた。心より尊敬しています」と話した。

 理化学研究所スーパーコンピューター「富岳」で気象の研究をしている三好建正チームリーダーは、米国へ留学していた時に真鍋さんの論文を教材にした。「二酸化炭素がどのくらい増えたら気温がどのくらい上がるかを予測するなんて発想は当時、なかった。時代を変革した研究です」

 地球温暖化をめぐっては2007年、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」にノーベル平和賞が贈られたが、真鍋さん自身、ノーベル物理学賞の対象ではないと見ていた。三好さんは温暖化が進む現状を念頭に「物理学賞の考え方が広がってきたのかなと思う」と読み解いた。

 真鍋さんと40年来の親交がある山形俊男・東京大名誉教授によると、真鍋さんは「シュクロウ」を縮めて発音しやすくした「スキ」というあだ名で海外の研究者から呼ばれている。「兄貴分のような存在。プールで泳ぐのが趣味の気楽なおっさんで、いつ勉強しているのかと思うが、奥さんの話では、家では非常に勉強しているようだ。まるで自分の家族が受賞すると決まったような気分だ」と喜んだ。

 東京大の後輩で、真鍋さんが渡米するまで同じ研究室で席を並べていた海洋研究開発機構の松野太郎フェロー(気象学)は「同じ気象学者として60年以上、近くで研究をやってきた。本当におめでとうと言いたい。真鍋さんは物理の原理をはっきり言ってきただけだが、研究者には温暖化を否定する人がいたのも事実だ。温暖化の影響が深刻化するなか、物理学として温暖化の事実を公式に受け入れ、そういう人たちに反省を促すという意義が今回の受賞にあるのではないか」と語った。