「バイデンは経済を破壊」 米国の農村部が分配策を拒むワケ

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米アラバマ州カルマン郡=青山直篤
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 米国を取材し、一つの国の中に、あたかも二つの異なる国があるように感じてきた。「都市」と「農村」である。苛烈(かれつ)な断層線はトランプ前大統領を生み、バイデン現大統領の統治を難しくしている。二つの世界の調和を図れるかが、コロナ後の経済・社会を再建できるかを左右する。

あおやま・なおあつ 1981年生まれ。グローバル化と民主主義のありようを探る企画「断層探訪」を朝日新聞デジタルで連載中。

 8月21日、トランプ前大統領の集会を取材するため、米国南部アラバマ州カルマン郡の農場を訪ねた。開始までまだ4時間はある演説を聴くため、数千人が保安検査に列をなす。雷雨になり、入場手続きが止められても黙々と待っていた。カルマン郡は、2020年の大統領選では実に88・1%がトランプ氏に投票した地域。支持者の忠誠心に改めて圧倒された。

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トランプ前大統領の集会は熱気に包まれた=8月21日、米アラバマ州カルマン郡、青山直篤撮影

 集会では、トランプ氏の登場直前に映画「パットン大戦車軍団」が映し出された。第2次世界大戦で米軍を率いたジョージ・パットン将軍が、ノルマンディー上陸作戦を前に将兵を鼓舞するシーンだ。「米国人は闘争を愛する。勝者を愛し、敗者を許さない」

 20年の大統領選で敗れたトランプ氏の集会で使うのは冗談のようだが、会場では、「トランプは勝った」と大書したTシャツを着た人の姿も目立つ。トランプ氏の主張通り、選挙には不正があり、真に勝ったのはトランプ氏――。そう考える聴衆も多いのだろう。

トランプ氏 カブール陥落を攻撃材料に

 演説を始めたトランプ氏は政権末期より生き生きして見えた。アフガニスタンの首都カブールの陥落はバイデン大統領を攻撃する格好の材料だった。

 「不正選挙で決まった大統領は(アフガンの反政府勢力だったタリバンに)ひざを屈して『どうぞお越しになって、何でもお好きなものを取っていって下さい』と言った。史上最大の恥さらしだ」

 批判は、経済政策にも向けられた。

 バイデン氏は、国民への大規…

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