「香港の将来」を描き、急減した依頼 日本の漫画育ちの香港人が懸念

有料会員記事香港問題

台北=石田耕一郎
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 日本で幼少期に「ドラゴンボール」や「ワンピース」といった作品を読んで漫画家を志し、自由が奪われていく香港社会の姿を風刺漫画で描き続けた香港人男性が今夏、台湾に移住した。香港国家安全維持法国安法)による圧力が強まるなか、作品を通じて香港問題への関心をつなぎとめたいと考えている。

 男性は柳広成さん(31)。香港で生まれ、9歳までの7年間を京都で過ごし、主人公が成長するストーリーを描いた日本の漫画に夢中になった。香港中文大芸術学科で水墨画浮世絵などを学び、2017年に漫画家として独立した。

 当初は短編のホラーや学園漫画などを手がけていた。しかし19年に香港で民主化デモが激化。デモ参加者らがネットで実況中継する警官隊との衝突の様子を見て「香港の実情を知ってもらいたい」と、弾圧の様子を風刺した鉛筆画を自身のSNS(インスタグラムのユーザーネームは「#柳廣成」)に投稿するように。香港紙「明報」から依頼され、同年10月から約5カ月にわたり、週1回のペースで鉛筆画を連載した。

 連載では主に、「香港の将来」をテーマにした。香港の憲法に当たる「基本法」の本がガラスケースに入った絵は、言論や出版の自由を保障した基本法が骨抜きにされていくことを皮肉ったものだ。中国本土で強まる市民への監視、習近平(シーチンピン)国家主席に対する個人崇拝の風潮が香港でも広がっていくさまも風刺した。

 連載を始めると、他の顧客からの依頼が急減。出版側が、政治的な圧力を懸念したのだと感じた。柳さんは「もともと海外向けにと考えて始めたことで、こうした反応は予想していた」と振り返る。

風刺漫画の連載を懸念していた海外の出版社が…

 一方で、連載中の19年11…

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