FB「利用者より利益優先」元従業員が議会証言、アルゴリズムに懸念

サンフランシスコ=五十嵐大介
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 米フェイスブック(FB)の元従業員で、同社の手法を批判する内部告発をしたフランシス・ホーゲン氏が5日、米上院公聴会で証言した。ホーゲン氏は、FBが「利用者の安全より自社の利益を優先している」として、同社の透明性を高めるための規制強化を求めた。

 「FBの製品は、子どもたちを害し、分断をあおり、我々の民主主義を弱めている」。ホーゲン氏は公聴会の冒頭、そう訴えた。

 同氏が問題視した一つが、FBの「ニュースフィード」に表示される投稿を決めるアルゴリズムだ。

 FBは2018年、ニュースフィードのアルゴリズムの変更を発表した。「ランキング」と呼ばれ、利用者の画面にどの投稿をどの順番で表示するかを決めるしくみ。個人的なつながりがある人とのやりとりなどに高いスコアを付け、優先的に表示されるようにした。同社は「あなたが気にかける人々とより意味のあるやりとりをできるようになる」と説明していた。

 だが、ホーゲン氏は「FBは極端な反応を引き出すコンテンツが、より多くのクリックやコメント、シェアを得られると知っている」と説明したうえで、「あなたが誰かをいじめようが、ヘイトスピーチをしようが気にしない」と指摘。アルゴリズムの変更で、怒りや分断をあおる内容が拡散されやすくなり、「若者がより多くの拒食症についての投稿にさらされている」と話した。エチオピアなどでは民族の紛争をあおっている、との見方も示した。

 ホーゲン氏は、グーグルや画像共有サービス「ピンタレスト」などでアルゴリズムの担当として勤務後、19年にFBに入社。市民への誤情報の拡散防止や防諜(ぼうちょう)の部署などで働き、米メディアによると今年退社した。ホーゲン氏は社内から数千枚の文書を入手して内部告発をしたとされ、米ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)は同氏の資料などをもとにFBに関する調査報道を行った。

 ホーゲン氏は「FBの社内で何が起きているか、社外の人はほとんど知らない。FB幹部は重要な情報を国民から隠している」とも強調。社外の専門家による調査ができるよう、FBのデータにアクセスするための規制が必要だと訴えた。

 米議会では、FBなどの米大手IT企業への規制強化が必要との見方は超党派で広がっており、この日の公聴会でも規制強化を訴える意見が相次いだ。

 FBは声明で、ホーゲン氏の証言について「多くの点で彼女の説明には同意しない」などと反論。一方で「一つの点では同意する。インターネットの基準となるルールを作る時だ」として、一定の規制作りに協力する姿勢は示した。(サンフランシスコ=五十嵐大介