ピリ辛メンマが放置竹林も農家も救う 宮崎のUターン31歳が製品化

有料記事

浜田綾
[PR]

 放置竹林を減らしながら、農家の所得向上につなげたい――。そんな思いを込めたメンマ製品づくりが延岡市で始まっている。地元産の規格外タケノコに、地場の調味料を合わせてピリ辛に仕上げた一品。延岡の名物にしたいと生産者は意気込んでいる。

 企画したのは同市の江原太郎さん(31)。同市上三輪町出身で、東京農大を卒業後、農業関連のベンチャー企業に入社し、東京最大の屋上菜園「都会の農園」の農園長を3年務めた。その後インドネシアで、農業に従事予定の外国人技能実習生の指導も担った。

 2019年、「いずれは帰る」と決めていた地元に戻り衝撃を受けた。昔とはまるで違う景色が広がり、幼い頃に遊んだ山には入れなくなっていたからだ。主な理由が放置竹林だった。

 竹は日光を求めて地下茎で繁茂していく。こまめに手入れしなければ、あっという間に広がって手に負えない竹林と化す。他の樹木が育たなくなるなど森の生物多様性を損なうと言われている。県森林経営課によると、1981年度は3768ヘクタールだった県内の民有竹林は、2021年度の調査では6002ヘクタールになった。

 江原さんは竹の生態を調べ、長さ50センチ~2メートルの幼竹を利用するメンマの製造販売に思い至った。農家には竹を収穫するインセンティブになり、「農家の収入を上げながら放置竹林問題を解決できる」と考えた。

 ただ、国内で流通するメンマは中国や台湾産の麻竹(まちく)で作られたものが多く、ラーメンのトッピングというイメージが根強い。その固定観念を覆し、かつ消費量も増やしたい――。そこで発案したのが、ご飯にも合うピリ辛のメンマだった。独自で試作を重ね、オリジナルのレシピ案を練った。

 使用するのは麻竹よりも細い孟宗竹(もうそうちく)。他の食材も地元産にこだわり、渡辺味噌醤油醸造=同市土々呂町=のみそと、七萬石とうがらし=同市祝子町産=を配合し、目を引く赤色に仕上げた。唐辛子の生産農家、松田宗史さん(71)は「メンマに使うと言われた時は全くイメージできなかったが、七萬石とうがらしのカッとこない辛さをいかせているのでは」と太鼓判を押す。

 製品化には、国産メンマの生…

この記事は有料記事です。残り365文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません