「障害者の存在否定」強制不妊・中絶訴訟、控訴審始まる 札幌高裁

有料会員記事

平岡春人
[PR]

 旧優生保護法(旧法)の下で知的障害を理由に中絶と不妊の手術を受けさせられたとして、北海道の女性(78)と夫(故人)が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が6日、札幌高裁(長谷川恭弘裁判長)であった。不妊手術の実施を認めなかった一審・札幌地裁判決について、「夫婦の話は信用性が高い」と反論。「旧法は障害者の存在自体を否定した」と違憲性を訴えた。

 訴状などによると、女性には乳幼期の熱病が原因とみられる知的障害がある。1977年に結婚し、81年に第1子を妊娠したが、親族に「(あなたの)子どもまで面倒見切れない。邪魔なものはおろして」と中絶を迫られた。同年6月に同意書に署名し、道内の公立病院で中絶と不妊の手術を受けさせられたが、「同意していない」と主張している。

 夫婦は2018年6月にそれぞれ1100万円の損害賠償を求めて提訴したが、夫は係争中の19年8月に82歳で亡くなり、おいが引き継いだ。

 旧法をめぐり全国で起こされている訴訟では、被害があっても賠償請求権が20年で消える「除斥期間」の起算点や、救済措置を取らなかった国の違法性が主な争点になってきた。

 だが、今年2月の夫婦の訴訟の一審判決は「医師の意見書や手術痕の写真など客観的な証拠がない」として、不妊手術があったとは認定しなかった。中絶手術についても夫婦に借金があったことに触れ、「経済的理由の可能性もあって優生手術とは認められない」と判断。違憲性の判断も示さなかった。原告側は判決を不服として控訴した。

 6日の第1回口頭弁論では、原告側は不妊手術について「原告女性の一審での供述内容や、録音された夫と弁護士の会話内容から信用性が高い」と主張。中絶手術についても「夫の年金記録や元同僚の陳述書から、当時夫婦には収入があり、知的障害を理由に手術を受けた」と訴えた。

 一審での原告女性の供述や夫…

この記事は有料会員記事です。残り297文字有料会員になると続きをお読みいただけます。