恒大危機「リーマンとは違う」 中国政府も警戒した不動産リスク
経営危機に陥っている中国不動産大手・中国恒大集団の動向を世界が注視している。日経平均株価は6日、8営業日連続で続落するなど金融リスクへの懸念も高まる。中国の不動産市場や世界経済にどう波及するのか。現地で長年、中国経済を研究してきた対外経済貿易大学の西村友作教授に聞いた。
――恒大の経営危機はどうなるとみていますか。
債務不履行(デフォルト)による事実上の倒産になる可能性が高いだろう。負債総額約2兆元(約34兆円)は中国の国内総生産(GDP)の約2%に当たる。不動産業は裾野が広いので、周辺産業にまで影響がある。経営失敗で負債が完全に焦げ付くとなると影響は甚大だ。だから世界の市場がこれだけ動き、世界同時株安が起こって日本にも影響があった。
――第2のリーマン・ショックになるのではとの見方もあります。
リーマン・ショックとは全く性質が異なるので、それはないと考える。信用力の低いサブプライムローンを証券化して広がり、誰がどれだけ持っているのかわからない不確実性が最大の問題だった。それとは根本的に異なるし、構造も違う。今回はあくまで個別企業の問題と捉えている。
さらに、中国経済が重大な危機に陥るかと言えばその可能性も低い。中国政府は、不動産業界の問題やそれが及ぼす金融リスクを非常に気にしてきたからだ。
――中国政府は今回の危機をある程度想定していたということでしょうか。
習近平(シーチンピン)国家…