「ドラクエ」支えたクラシック様式の数々 すぎやまこういちさん悼む

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編集委員・吉田純子

 東京五輪の開会式で、あのファンファーレが鳴り響いた瞬間、誰もが「待ってました!」と心の中で叫んだのではないだろうか。

 世代も国境も超え、「あの曲だ!」と誰もを笑顔にする、すぎやまこういちさんの「ドラゴンクエスト」は、コロナ禍の日本で最も頻繁に耳にした曲のひとつだ。プロアマ問わず、オーケストラで、吹奏楽で、室内楽で。多様極まる祝祭の響きがSNSにあふれ、多くの人のステイホームの日常を元気にした。

 すぎやまさんの音楽のすごみは、オーケストラの音色を伴わないゲームの電子音楽でも、原曲の魅力を全く失わないことだ。どんなアレンジにも耐えられることは名曲の条件でもある。

誰もが「あの曲だ!」と叫びたくなる理由

 TBS系のドラマ「カルテット」でも、「ドラクエ」は実に効果的に使われていた。クラシックの世界で一流になれなかった4人の演奏家が、「でも、私たちにはこの音楽がある」とばかりにいつも胸を張って演奏するのが「ドラクエ」序曲だった。子供たちが一斉に「あの曲だ!」と振り向き、笑顔で手拍子を始める。「白黒はっきりさせなくていい。私たちらしくさえあれば」。そんなドラマのメッセージは、「ドラクエ」の音楽のポジティブな力によってひときわ説得力を増すこととなった。

 とはいえ、やっぱり「ドラク…

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