ノーベル文学賞にアブドゥルラザク・グルナ氏 ポストコロニアル文学

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オスロ=金成隆一
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 スウェーデン・アカデミーは7日、2021年のノーベル文学賞を、タンザニア出身の作家、アブドゥルラザク・グルナさんに授与すると発表した。授賞理由を「植民地化がもたらした影響と、文化のはざま、大陸のはざまの深淵(しんえん)で難民たちがたどった運命への、妥協のない、共感にあふれた追究に対して」とした。

 選考の実務を担ったノーベル委員会のアンデルス・オルソン委員長によると、グルナさんは1948年に東アフリカの英領ザンジバル(現タンザニア)で生まれた。英ケント大学で文学の教授を務め、引退した。1994年に小説「パラダイス」を発表し、ポストコロニアル文学の作家として広く知られるようになった。

 グルナさんは18歳の時の混乱を受け、避難して英国に渡った。これが、自国を離れること(exile)が全作品で中心的な役割を担っているだけでなく、植民地以前のアフリカへのノスタルジアがないことも説明しているという。

 作中で描かれる人々は異なる文化の間の溝に身を置いているという。グルナさんは「人類の苦境を思いやりをもって観察」し、人種差別的な社会に生きる黒人女性らを描いてきたという。オルソン委員長は「あまり知られていないアフリカの姿を鮮明に、正確に描き出している」と評した。

 賞金は1千万スウェーデンク…

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