公共交通ない地域に思わぬルート 経路検索でコミバス表示

西田有里
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 【兵庫】ネットでの経路検索に、県内のコミュニティーバスを表示させる県や市町の取り組みが進んでいる。運行時刻や停留所などをデータ化して事業者に提供し、グーグルマップにはすでに15市町のバスが検索で出るようになった。県の担当者は「公共交通がないと思われている観光地でも、経路が見つかるかも。ぜひ検索してみて欲しい」と話す。

 10月上旬、高速バスを降りて淡路市内を散策し、スマートフォンの地図アプリに次の目的地を打ち込むと、数百メートル先から出るコミュニティーバスが経路に表示された。やってきた黄色い派手なバスに揺られ、5、6人の乗客と海沿いの道を目的地に向かった。

 淡路市を走る「あわ神(じん)・あわ姫バス」は、9月からグーグルマップの検索に表示されるようになった。「いつもいつもありがとう」と運転手に話しかけて乗り込む高齢の女性客や、神社へお参りに向かう観光客、キャラメルを乗客に配る運転手――。そんな光景を乗せた「地域の足」の停留所は、病院や学校のほか観光名所も含めて市内100カ所を超える。

 県内では、コミュニティーバスが走っていても、経路検索サービスでは公共交通がないとされ、タクシーや徒歩による経路が示されることが多かった。利用者が限られるため周知されておらず、多くの事業者もサービスにコミュニティーバスのデータを取り込んでいなかったためだ。

 そこで県は昨年4月、多くの人に活用されるきっかけを増やそうと、市町とともに運行データなどを一括で整備し、事業者に採用の働きかけなどを始めた。ナビタイムやヤフーの路線情報など、他の経路検索サービスでも対応が進んでいる。県は作ったデータを県のホームページで公表。事業者は、バスの位置情報や運行情報を示すデジタルサイネージ(電子案内板)にもデータを活用できる。

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 公共交通機関がなかったり交通の便が悪かったりする地域で、国や自治体が補助を出して支援し走らせるコミュニティーバス。県によれば、県内では昨年度時点で約30の市町に計377系統が走っている。

 県などが進める運行データの整備には、少しでも利用者を増やし収支を好転させることで「交通弱者の足」の維持を図る狙いもある。

 県によると、路線バスの撤退や縮小にともなって、県内のコミュニティーバスが走る距離は年々延長。自治体がコミュニティーバス事業に補助する額も増加傾向にある。2014年度に約10億円だった県と市町の補助額は、19年度には約13億円になった。県の担当者は「民間だけでは成り立たない地域を走ることが多いので、収支は厳しい。とはいえ補助を増やし続けることにも限界がある」と話す。

 コミュニティーバスは交通弱者にとっては欠かせない移動手段だが、自力で移動できる地元住民には存在すら知られていないこともあるという。行政には「空気を運んでいる」との批判の声も届くが、「必要な人がいるから走っている。維持するためにも、多くの人に知ってもらい、利用してもらうことが重要」と県の担当者は説明する。(西田有里)

グーグルマップに表示される県内のコミュニティーバス(10月6日現在、県調べ)

しおかぜ、八多淡河バス(神戸市)

ぐるっと生瀬、さくらやまなみバス(西宮市)

ふれあいバス(猪名川町)

かこバス 浜手ルート、かこバスミニ(加古川市)

KASAIねっぴ~号、はっぴーバス(加西市)

のぎくバス(多可町)

コミュニティバス(市川町)

ゆらのすけ(赤穂市)

コミバス佐用(佐用町)

コバス、イナカー(豊岡市)

コミバス ハートラン(丹波篠山市)

コミバス(洲本市)

らん・らんバス(南あわじ市)

あわ神・あわ姫バス(淡路市)

家島コミュニティバス、坊勢コミュニティバス、コミュニティバス雪彦(姫路市)