その助言、「おひとりさま」を否定してない? 検定で支援人材を育成

宮田富士男
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 引きこもり孤独死、自殺などと関わりがある「孤独・孤立」の問題が深刻になっている。政府は2月、深刻な社会問題を内包しているととらえ、担当相を新設した。民間による取り組みも始まっており、福岡市では、孤独・孤立を含めた「おひとりさま」が抱える問題を解決する人材を養成している。

 福岡市の一般社団法人「ひとりとひとり」(廣川奈美代表理事)が4月に始めた「おひとりさま検定試験」。同法人は、孤立無援ではなく自立した個人同士が支え合う「個立有縁」の生き方を提唱し、人と人がつながるための情報や機会を提供している。孤独・孤立を感じている人や、この問題を解決したいと思う人を想定して検定試験を始めた。

 内容は、孤独・孤立について心理面の理解を深める初級、伝えたい相手を明確にしてSNSなどで発信する中級を経て、上級では公認心理師らの指導の下、グループワークなどで実践的に受講者同士が学び合う。いずれもオンラインで開催する。

 現在、国内外の男女約10人が上級を受講中だ。北九州市の60代男性は10年前に妻と死別して独居生活になった。「頼りになる友達をつくりたい」と老後に向けて共に支え合うコミュニティーづくりを始めており、それに役立てようと受講した。

 講座の特徴は、受講者の意見表明が尊重されること。自分とは違う見方や考え方を知り、触発されて理解を深める。

 例えば、生きづらさを抱えて孤立している人への支援。成功例と失敗例が提示され、その理由について話し合う。失敗例では「本人の意向をくみ取っていない」「助言が本人の気持ちを否定する内容」などの見方が示された。

 一つの意見が突破口になり問題の本質に迫っていく。「ここでの学びは濃いです」とドイツ在住の女性。「一人だと考えるのがしんどいテーマでも、仲間がいることで正面から向き合える」と共に学ぶ意義を話す。

 2020年の自殺者は約2万1千人で、11年ぶりに増えた。新型コロナ禍で人との接触が減り孤独を感じる人が増えたことも一因とみられる。

 孤独・孤立の解消に「人とつながろう」「助けを求めよう」という呼びかけは意味がない、と廣川さんは話す。「それができないから困っている。そういう人に寄り添い理解することが第一歩」

 受講申し込みはおひとりさま検定試験のホームページ(http://hito-ken.com別ウインドウで開きます)で。(宮田富士男)