「車いすモデル」生んだ芸能事務所 「やる」と即答した韓国元局アナ
テレビ局のアナウンサーだったチャ・ヘリさん(32)は1年前、仕事で知り合ったパラアスリートに共感して、障害者タレント専門の芸能事務所「PARASTAR ENTERTAINMENT」を設立しました。タレントの活躍を通して、社会の認識や行政支援のあり方を変えたいと考えています。
【初回】「政治は政治。国民は国民」日韓関係、ピンデトッつつきながら考えた
来年3月に大統領選を控えた韓国から市民の声を届ける企画。2回目は日本でも重要な課題として認識されつつある障害者の社会活動について取り上げます。
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9月末、待ち合わせ場所に指定されたソウル郊外のカフェでは、事務所所属の「車いすモデル」、金宗昱(キムジョンウク)さん(25)が社会福祉財団のインタビューを受けていた。そばで立ち会っていたチャさんに聞いた。
――金さんはインタビューを受けている間も笑顔が絶えないですね。どんな方ですか。
韓国初の「車いすモデル」です。出産の過程で脳に障害を負い、車いすが欠かせません。学生時代に学校で階段を上り下りする際は、同級生におぶってもらったといいます。「友達に負担をかけてはいけないと思ってダイエットしたら、イケメンになった」と冗談を飛ばすような明るい性格です。
数年前、おしゃれをしてファッションショーに出かけたら、見ず知らずの人たちから注目され、写真を撮られたことをきっかけに、モデルを志したそうです。
――以前から障害者に関心があったのですか。
以前はあまり意識しませんでした。3年前、ニュース専門チャンネル・YTNのアナウンサーだった私は、五輪関連のイベントでMCを務めました。そこで、平昌パラリンピック・アイスホッケー代表の主将だったハン・ミンスさんと知り合いました。
ハンさんは「障害者に対する社会の認識を変えないといけない」と熱く語ってくれました。ハンさん自身も20代で関節リウマチが悪化し、30代で左足を切断せざるを得ないというつらい経験をされた。はじめは現実を受け入れられなかったそうです。障害を負って1、2カ月は自殺衝動に駆られる人も少なくない。心のケアが大切で、社会で支えなければいけないという話を聞きました。私にも何かできるのではと思うようになったのです。
――事務所を設立した理由は。
それもハンさんです。パラア…