第2回ボタン掛け違い、主張すれ違い1年 核ごみ調査で分断した町

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伊沢健司
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 賛否を問わず勉強する、意見の違いを超えて対話する、まちの将来を考える――。核のごみ原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場の選定に向けた全国初の文献調査が昨年11月に始まり、今月26日には町長選がある北海道寿都町内で、よく聞く言葉だ。

 実は、文献調査に賛成する人も反対する人も、この考えを口にする。それなのになぜ、調査を推し進め6選をめざす現職の片岡春雄町長(72)と、中止を求める前町議で新顔の越前谷由樹氏(69)が対立し、双方とも「町内が分断している」と言うのか。

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 国内の原発が動き始めてから半世紀以上経つなか、人口約2900人の漁業のまちで、初めて動き出した最終処分場の選定プロセス。トップが下した「政治的判断」に、町民の賛否は割れている。今月21日告示、26日投開票の町長選を前に、この1年の「核のごみ」をめぐる議論を3回にわたり追う。

 読み解くカギは、文献調査への応募を「小学校への入学」に例えた片岡町長の持論にある。

 1年前の10月9日午前、片岡町長は経済産業省の大臣室にいた。直前に原子力発電環境整備機構(NUMO)で文献調査の応募手続きを終え、梶山弘志経産相(当時)に直接伝えた後、「分かりやすく言うと、入学手続きに来たという思い」と語った。

 最終処分場の選定プロセスは3段階20年に及ぶ。既存のデータや論文を用いる2年の文献調査から始まり、実際に穴を掘る4年の概要調査、地下施設をつくる14年の精密調査へと続く。最終的に300メートルより深い地下に核のごみを埋める「地層処分」の処分場建設に進む。

 2000年制定の最終処分法では、第2段階の概要調査、第3段階の精密調査、そして実際に処分場を建設する前にそれぞれ「知事及び市町村長の意見を聴き、これを十分に尊重してしなければならない」と定めている。北海道の鈴木直道知事は、核のごみを「受け入れ難い」と宣言した道条例を理由に、調査に反対の姿勢だ。ただ、最初の第1段階の文献調査への応募については知事に意見を聴く規定はなく、市町村長の判断でできる。

 片岡町長は、このプロセスを小学校から大学までの学習期間に例え、「文献調査は小学校への入学。入学し、勉強しましょう」と町民に訴えてきた。「入学」すれば、国やNUMOの支援を受け、次の段階へ進むか判断する知識を得られると主張する。「みんな一緒に学ぶことに関して、町が二分されることはない」と、文献調査への応募を決めた。

 一方、越前谷氏は「町民に対して入学の意思を聴いたのですか、と言いたい」と反論する。町長の判断による応募の前に、町民が核のごみについて時間をかけて学び、住民投票で民意を確かめるべきだったと訴える。さらに「途中でやめることを前提に学校に入る人はいるだろうか。一度応募すれば処分場建設という最後まで行ってしまう恐れがある」と指摘する。

 この「入学」に対する合意形成が、ボタンの掛け違いとなり、今も町内に分断を残している。

 それでも、意見の違いを超え…

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