ドラフト1位候補の左腕はどこまでも冷静だった。
「(1位候補と言われることは)気になりません。さすがに当日は緊張すると思うけど、自分が緊張したところで何が変わるわけでもない。考えても無駄じゃないですか。無駄なことは好きじゃないんで」
筑波大の佐藤隼輔(21)はそう言って笑った。国公立大の選手としては1996年の杉本友(筑波大)以来、史上2人目の1位指名の期待がかかる。
そのことを聞いても「2人目じゃないですか。『史上初』じゃないので」と意に介さない。
さとう・しゅんすけ
2000年1月3日生まれ。仙台高3年の夏は宮城大会で8強入り。勉強の得意科目は数学と物理。苦手は国語で「テストでいつも足を引っ張っていた」。身長182センチ、体重82キロ。
仙台高時代からプロの注目を浴びた左腕は、自らを「理系の頭」と分析する。「やらされる練習は好きじゃない。研究しながら野球の練習もできる」と4年前、筑波大からプロを目指すことを選択した。
言葉通り、投球への理解を深めた3年半だった。
スポーツや健康に関する研究を行う体育専門学群に所属。「解剖学や筋肉の作りを学びました。トレーニングがどの部位に効いて、その部位を投球でどう使うのか、イメージをしっかり持つことができた」。たとえば、投球時に「腹を締めろ」と言われれば、具体的には「腹斜筋をつぶす」ことを意識した。
2年春に大きく球速を上げたのは、こうしたはっきりとした目的を持ったトレーニングの成果だった。
その名も、「スピードアッププログラム」。
立ち五段跳びや横向きのジャ…
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