中国と米国、衝突避けるカギは 二つの秩序・二つの現実・二つの問題

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北京大学国際戦略研究院長・王緝思さん寄稿

 1948年生まれ。中国社会科学院米国研究所長、中央党校国際戦略研究所長などを歴任。2016年まで中国外務省の外交政策諮問委員も務めた。

 中国と米国は戦略的競争の局面に入った。この競争は現代史における国際競争の中で、東西冷戦を超えて最も長く激しく、影響の及ぶ国が最も多いものになるだろう。両国関係の悪化の速度は両国の専門家の予想を超えるものだ。

 中国の経済規模と軍事力は急速に米国に近づいている。今年、中国の国内総生産(GDP)は米国の71%前後に達すると予測されている。冷戦時代のソ連もGDPは米国の50%を超えたことがない。中国は世界最大の製造業を持ち、米国に代わり世界最大の投資受け入れ国となった。中国が次第に優位に立つであろうことは、多くの中国人、米国人が感じている。

 中国の台頭は、米国に焦りを抱かせている。100年余り守ってきた世界最強国の地位を失うことは、米国の自信と国内の結束に計り知れない打撃を与えるだろう。米国の政治家は強硬な姿勢を示そうと、中国共産党に全方位的な激しい批判を浴びせ、中国に対する米国の人々の反感や恐怖をあおろうとしている。

 中国にとって、自国の地位の高まりは愛国主義と民族的自尊心の源泉となる。今年1月、習近平氏は共産党幹部を前にした演説で、「世界は過去100年になかったような大変革期にあるが、時の利は我が方にある」と述べた。

 ここ数年で生じた鮮明な対比が、中国側の自信を高めたという面がある。新型コロナで米国は70万人を超える犠牲者を出したが、中国は犠牲者を約5千人に抑えている。米国では暴動が相次ぎ、今年1月にはトランプ支持者が連邦議会を襲う事件まで起きた。バイデン政権はアフガニスタン駐留軍の拙速な撤退で国際的なメンツを失った一方、中国は国内を小揺るぎもさせずに共産党結党100周年を祝った。

 多くの中国人、とりわけ若い世代は米国に対する一種の自信、ひいては米国を侮り、必ず勝てるという信念を持つようになっている。こうした考えが国の政策に影響を与えるようになれば、両国に長期的な損失をもたらす恐れがある。

 近年の中国の対米強硬姿勢の背後には、より深いレベルの、積年の火種が隠されている。

中国を代表する米国研究者で、「米国の本音を聞き出せる数少ない人物」と言われる王緝思さん。記事後半では、中国側の対米不信の根底にある認識や歴史解釈を踏まえ、双方が歩むべき道を説きます。

 1949年の新中国成立後…

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