「議会の役割」問われる 県有地問題で県議会など

吉沢龍彦、三ツ木勝巳
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 山梨県議会9月定例会が7日閉会した。17日間の会期中、「議会の役割」とは何かが議論の一大テーマとなった。富士急行が別荘地にしている県有地の問題に関する特別委員会の廃止と設置をめぐり、公開の議場で繰り広げられたホットな論争を振り返る。

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 発端は、定例会初日に動議で提出された特別委員会の廃止提案だった。

 特別委では昨年来、富士急行に貸し付けられ、住民訴訟の対象となっている山中湖畔の県有地をめぐる県の対応を検証してきた。県が実施した複数の不動産鑑定で評価額が大きく異なることや、調査業務費用の6600万円をほかの予算から流用して弁護士に支払ったことなどは、この特別委で明らかになった。

 廃止を求めたのは長崎幸太郎知事の対応を支持する3会派だった。最大会派の自民党誠心会などは反対したが、賛成多数で廃止が決定。同会が新しい特別委を提案すると、3会派は山中湖畔の県有地を「裁判で係争中」であることを理由にあえて議論の対象から外す別の特別委を提案し、設置が決まった。

 この議論で、「議会の役割」が大きなテーマになった。特に、9月30日の本会議でどちらの特別委を設けるかを決めた際には延べ21人が壇上で発言し、論争は2時間近く続いた。

 そもそも特別委の廃止に反対した議員らは、動議による廃止は「議会の責務を自ら放棄する暴挙だった」と批判し、「制約のない自由な議論を深めることが重要だ」と主張した。山中湖畔の県有地を除外することには「問題の核心をあえて避け、真実追求を停止する議会になってしまう」という指摘もあった。

 除外を求めた3会派の主張は、裁判で係争中の問題について詳細に問いただすのは不適切だというものだ。司法の判断を待つしかないという考えを多くの議員が述べた。

 中には「議会は何をしてもいいわけではない」と言う議員もいた。水岸富美男議員は、首長の権限に属する事柄には介入できないと主張。「議会はその地位、職責に見合った活動をすることが求められている」と述べた。

 この発言は議会が自らの手足を縛り、口をふさぐことにならないか。

 桜本広樹議長は8日の記者会見で、次のような考えを述べた。

 「議会は全部が追認ではない。遠慮するのはおかしい。知事と議会は方向性を一緒にしながら、スピードを上げる時はアクセルを踏み、必要があればブレーキを踏むというように緊張感をもちながら進んでいく関係だ」

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 市や町の議会でもその役割が問われている。

 官製談合事件で現職の町長と町議が逮捕された市川三郷町。笠井雄一・町議会議長は9月22日にあった会見で「議会の最も重要な責務である監視機能が十分に果たされていなかった」と述べて町民にわびた。

 甲府市議会は7月に施行した議会基本条例で、「議員間の自由な討議」を尊重し、「市政に反映できるよう」意見集約に努めることを規定した。

 9月24日にあった決算審査特別委員会では執行部を退席させ、委員だけで討議する時間を設けた。赤字が続く市立甲府病院については経営形態の見直しを含めて意見交換し、今後、特別委員会などを設けて議論することで一致した。

 輿石修委員長は議員間討議について「いいことだと思います。執行部の前ではなかなか言えないことも言える」と話した。(吉沢龍彦、三ツ木勝巳)