「世界で言論が封殺されている」 にじむノーベル委員会の危機感

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オスロ=金成隆一、ニューヨーク=中井大助
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 今年のノーベル平和賞が強権的な政権に批判的な姿勢を続ける2人のジャーナリストフィリピンマリア・レッサさんとロシアのドミトリー・ムラトフさんに決まった。授賞の判断には、世界各地で表現の自由が脅かされ、言論が封殺されているという危機感がにじんだ。

 ノルウェー・ノーベル委員会のライスアンデシェン委員長は会見で「自由で、独立した、事実に基づくジャーナリズムは権力の乱用やうそ、プロパガンダから守る役割を果たす」と指摘。表現の自由は「民主主義の肝要な前提条件で、戦争と対立から守る」と述べた。

 権力者による報道への攻撃は世界各地で相次ぐ。フィリピンでは国家通信委員会が昨年5月、政権に批判的な報道で知られる民放最大手のABS―CBNに対し、免許の期限切れを理由に放送停止を命令した。レッサさんも現政権下で少なくとも2度逮捕されており、昨年6月には8年前の記事に関する名誉毀損(きそん)で有罪判決を受け、「脱税」でも訴追されている。

 ロシアの自由な報道や言論に対する包囲網は、プーチン大統領が2000年に就任して以来、一貫して狭められてきた。主要な民放テレビ局は、政府系企業が相次ぎ買収し、国営テレビと同じく政権の影響下に入った。

 独立系の新聞やネットメディ…

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