「コーヒー作れなくなる」 飲む私にできること、地球の両側で考えた

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笠原真 大部俊哉 ブエノブランダオン〈ブラジル南東部〉=岡田玄
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 赤道を挟む「コーヒーベルト」と呼ばれる一帯で生産されるコーヒーは、2500万以上の農家の暮らしを支える一方、「おいしい一杯」は世界の人々の暮らしを彩っている。そんな日々が今後も続くには、何が必要だろうか。

 コンビニの店頭で紙コップをセットし、ボタンを押す。待つこと30秒。いれたてのコーヒーを手に職場に向かう。10年ほど前に登場したコンビニコーヒーは、1杯100円という気軽さで広まった。コーヒーはカフェや喫茶店で数百円出して飲むのが当たり前だった消費者に、新しい選択肢が増えた。

 多くの日本人に親しまれるコーヒー。実は世界中で2500万以上の農家の暮らしを支え、地球環境を守る上でも鍵を握っています。おいしい一杯が、消費者にも産地にも幸せをもたらす存在であるためには――。コーヒーは、人と地球と経済活動との調和をめざす国際連合のSDGs(持続可能な開発目標)と密接に関わっています。

 コンビニ大手のローソンはカフェサービス「マチカフェ」を展開するが、安い豆ばかりを使えば生産者の生活が立ちゆかず、コーヒー生産も続けられなくなる恐れがある。企画担当の吉岡圭太さん(34)は「生産者を守り、消費者には安さを提供するバランスが売り手の責任」と話す。

 「マチカフェ」を始めたのは10年前だ。コーヒー豆は生産地の森林保全や労働環境の公正さを国際基準で認証する「レインフォレスト・アライアンス」(本部・米国)の認証を受けた豆を使う。当初はコーヒー1杯で使う豆の約30%が認証の豆だったが、2015年には100%になった。

 仕入れ先は10年前からほぼ変わらない。吉岡さんは「長期的な取引で信頼関係を築き、国際価格の変動の影響を比較的受けず、安定した供給が受けられる」と説明する。グループの商社が買い付け、流通を簡素化させたこともコスト削減につながった。生産の持続可能性に配慮した事業は、キリングループがコーヒー豆を取引するベトナムの農園に環境に配慮した栽培方法を専門家を通じて教えるなど、日本企業にも広がりつつある。

 コーヒーは生産から消費まで世界を広く股にかけるグローバルな作物だ。約70カ国の2500万を超える農家の生活を支え、重要な外貨獲得源になっている。ただ、繊細な作物で収穫は気温や降水量に左右されやすく、気候変動や貧困が生産地の縮小や離農につながり、生産量の減少を引き起こしかねないという側面もある。

記事の後半では、コーヒーの一大産地ブラジルで「森をよみがえらせる農法」に取り組む農家を記者が訪ねます。

 世界中で飲まれるコーヒーは…

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