未提出の出生届、判決に記された娘の名 殺人罪で実刑判決、母の苦境

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三宅梨紗子
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 広島市安佐北区の自宅で生後2週間の女児を殺害したとして殺人の罪に問われた無職、渡辺彩奈被告(26)の判決公判が8日、広島地裁であった。杉本正則裁判長は、懲役4年(求刑懲役5年)を言い渡した。

 判決などによると、渡辺被告は昨年7月1日午前8時50分ごろ、自宅の寝室で、娘の陽葵(ひまり)ちゃんの鼻と口を左手でふさぎ、首を右手で絞めて殺害した。

 判決は、渡辺被告が1人での育児につらさなどを抱え、「交際相手らに率直に相談することもなく、産後の支援制度の説明を受けていながら利用することもなく、育児から解放されたい気持ちから衝動的に犯行に及んだ」と指摘した。

 弁護側は公判で、「1人での育児が想像以上にしんどく、疲労困憊(こんぱい)していた」と訴え、執行猶予付きの刑を求めた。しかし、判決は「周囲に相談しにくい心情にあったことは理解できる」としながらも、「ありのままを説明して支援を願い出るべきであり、そのような努力をせずにわが子を殺害する決意をしたことは厳しい非難に値する」と述べ、実刑が相当とした。

 判決文には、出生届が未提出だった陽葵ちゃんの名前が記された。杉本裁判長は判決言い渡しの後、「陽葵ちゃんのことを決して忘れることなく、事件を背負った上で前を向いて生きていってほしい」と語りかけた。渡辺被告は裁判長の言葉に涙を流しうなずいた。

「支援が必要なケース」だったが…

 事件の現場になったのは、広島市中心部から車で1時間弱の郊外にある2階建てアパートの一室。周囲は山や川に囲まれている。渡辺被告はこのアパートで、当時の交際相手と娘の3人で暮らしていた。

 事件を受け、広島市社会福祉…

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