「監視強化」「対象拡大を」保釈の被告にGPS、初導入へ割れた意見

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伊藤和也、新屋絵理
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 保釈された被告に全地球測位システム(GPS)端末を装着して逃亡防止を図る初の制度が導入される見通しとなった。8日に答申案をまとめた法制審議会(法相の諮問機関)の部会では、監視強化を警戒する声が上がる一方、海外逃亡の恐れがある被告に限定せず対象を広げるべきだといった意見も交わされた。

 「現状でも保釈されている逃亡リスクの低い被告に安易に使うのなら賛成できない。一方で、勾留と比べれば身柄が解放されることは望ましい」

 昨年末の第8回会議。弁護士の委員はこう述べ、議論の口火を切った。GPS制度の導入により保釈が広がることに期待しつつ、単に監視が強まるだけの結果にならないよう釘を刺したものだ。

 一審判決までに保釈された被告の割合(保釈率)は、50%超だった1970年代から2000年代は10%台に低下。09年に裁判員制度が始まって事前に争点や証拠を絞り込む手続きが定着したことなどを受け、19年には32%まで増えたものの、罪を認めた場合と比べて否認すると多くが保釈を認められていない実態がある。こうした状況を、日本弁護士連合会は「人質司法」と呼んで批判してきた。

 一方、保釈中に裁判所に出頭しなかったり逃げたりしたなどとして保釈を取り消された被告は、09年の40人から19年は219人に増加。19年は神奈川や東京、大阪で計4件の逃亡が相次ぎ、年末には15億円に上る保釈保証金を納めていた日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告が保釈条件を破ってレバノンへ出国した。保釈金を担保に逃亡を防ごうとする現行の仕組みの限界が浮き彫りになり、新たな方策の検討が法制審の部会で昨年6月から進められてきた。

 その方策の一つがGPS制度だ。適用する対象は、主権の及ばない海外に逃げられれば裁判や刑の執行が難しくなることや、運用面を考慮して海外逃亡の恐れのある被告に絞られた。資金力のある企業幹部や組織犯罪の関係者らを想定し、空港や港の周辺を含む一帯を「所在禁止区域」に設定してGPS端末で検知できるようにしておくという。

 ただ、対象の範囲については…

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