イラク総選挙 親イラン政党が第1党になるか 米軍、年内撤退を宣言

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バグダッド=伊藤喜之
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 イラク国民議会選挙(総選挙、定数329)が10日、投開票される。米軍が年内の戦闘部隊の撤退を宣言するなか、親イラン系シーア派の武装組織「人民動員隊(PMF)」を母体に持つ政党「ファタハ連合」が第1党を取るかが大きな争点だ。ただ、国民の多くは展望を持てず、投票率は伸び悩む公算が大きい。

 「選挙への意識的で、責任感のある参加を勧める」

 イラクのイスラム教シーア派最高権威のシスターニ師は先月29日、国民に投票を促すファトワ(宗教見解)を出した。

 「国の政権に真の変化を引き出すとともに、腐敗し、無能な者を遠ざける機会を利用すべきだ」とも訴え、イラク政治を覆う汚職一掃への期待も口にする政治的な内容だった。

 だが、シスターニ師の呼びかけにもかかわらず、地元シンクタンクが8日発表した予測では、投票率は37~42%にとどまり、3年前の投票率(44・5%)を下回った。

 総選挙では329議席に対し、候補者が3249人と乱立する。

 前回選挙では、イスラム教シーア派指導者サドル師の政党連合「サーイルーン」が最多の54議席を獲得。過激派組織「イスラム国」(IS)討伐で存在感を高めた武装組織PMFを母体に持ち、アミリ元運輸相が率いるファタハ連合が2番手で続いた。

 しかし、過半数を取った勢力がなく、その後は連立交渉が難航し、新首相が決まるまで5カ月かかった。

 今回はファタハ連合がさらに議席数を上積みし、もう一つの親イラン政党のマリキ元首相が率いる「法治国家連合」など、サーイルーン以外の勢力も取り入れて、連立内閣を発足させる可能性も指摘されている。サドル師は反米強硬派だが、イランとは距離を置いてきた。それだけに親イラン政党による政権誕生の可能性もある。

 PMF傘下の組織は反米を旗印にし、米軍や米大使館などへの攻撃を繰り返してきており、米国としては避けたいシナリオだ。

 政治ジャーナリストのファディル・アブ・レーフさんは「サドル師が勝てる確率は日に日に落ちている。それだけファタハや法治国家連合に勢いがある」と指摘する。

 一方、2019年10月からイラク全土で広がった反政府デモを支持する候補者も多く、一定数が当選するとみられている。

 「正直、選挙どころではない…

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