乱歩・横溝の直筆原稿もホームズ像もずらり 「ミステリーの系譜」展

平山亜理
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 江戸川乱歩横溝正史など探偵小説推理小説などの歴史をたどった企画展「ミステリーの系譜」が山梨県文学館で開かれている。山梨出身の推理小説木々高太郎(たかたろう)の功績を紹介するほか、小説の挿絵や映画ポスターも展示している。

 木々は1937年、探偵小説としては初めて直木賞をとった小説家だ。1897年に甲府で生まれ、慶応大学医学部を卒業後、旧ソ連のレニングラードに留学。条件反射で有名なパブロフ博士の元で研究した。医学や臨床心理学の知識も小説に生かし、「人生の阿呆(あほう)」を執筆。新たな手法を探偵小説に見いだした。

 企画展には、直木賞の受賞により「探偵小説が活発になる」と乱歩から送られた祝いの手紙や、受賞の際の乱歩らによる寄せ書きなどもある。

 学芸員の中野和子さん(50)は、「木々は推理小説という言葉を定着させ、松本清張が作家として成長する道筋も作ったと言われている」と話す。

 企画展ではこのほか、乱歩の「人間椅子」の草稿や横溝の「八つ墓村」の原稿などの直筆資料、江戸川乱歩賞受賞者に贈られたシャーロック・ホームズ像も展示している。また、乱歩や横溝の挿絵を手がけた竹中英太郎の作品もある。

 展示では、日本にミステリーが入ってきた頃から戦前までと、戦後の二つのコーナーに分かれて、ミステリーの系譜を分かりやすく説明している。昭和10年代には、探偵小説が取り締まりの対象になり、戦争が激しくなると、探偵小説を発表する場もなくなってきたという。

 戦争中は沈黙していた乱歩は戦後、探偵小説をもり立てようと関西各地を講演して回り、その際に岡山にいた横溝の家にも立ち寄ったという。乱歩は1947年に「探偵作家クラブ」の初代会長に就任。探偵小説の賞を創設し、新人の発掘に務めた。

 企画展は11月21日まで。観覧料は一般600円、大学生400円、高校生以下無料。月曜休館。

 名作映画の鑑賞会もあり、10月31日には横溝正史原作の「悪魔の手毬唄(てまりうた)」、11月7日には松本清張原作の「影なき声」などを鑑賞できる。鑑賞会は無料で、電話での申し込みが必要。申し込みと問い合わせは、文学館(電話055・235・8080)へ。平山亜理