北方領土から泳いだロシア男性、茨城に移送 故郷の母に電話も

有料会員記事

松尾一郎
[PR]

 8月中旬、北方領土国後島から北海道標津町に渡り、難民申請したロシア人男性。海を泳いで渡った、と話した男性は当初、出入国在留管理庁の札幌出入国在留管理局に収容され、9月中旬に東日本入国管理センター茨城県牛久市)に移送された。朝日新聞記者がこのほど、収容者を支援する「牛久入管収容所問題を考える会」の田中喜美子代表とともに男性を訪ねた。男性は故郷の母を思って電話していると言いつつ、「ロシアではストレスがあったが、今はホッとした気分」とも話した。

 男性は、ロシア西部ウドムルト共和国イジェフスク出身のバース=フェニクス・ノカルド氏(38)。ロシアの移住政策に応じて国後島に移り、島南部ゴロブニノ(日本名・泊)周辺でアルバイトをして生活していた。8月中旬、ロシアを離れ、泳いで北海道に渡ったという。9月初めに札幌で取材に応じた際は、長期政権を続けるプーチン大統領の政治体制への不満が国外へ出た動機だったと話した。

 現在ノカルド氏が収容されている東日本入国管理センターは、公共交通機関でのアクセスが難しく、農地などに囲まれた場所にある。人影はまばらだ。田中さんによると、現在施設には20人余りの外国人がいるという。

 面会を申請してから1時間以上たった後に許可が出た。面会室は樹脂製とみられる透明な板で区切られ、マイクで収容者と話す仕組みになっていた。ノカルド氏はすでに田中さんと面会したことがあり、札幌で記者の取材に応じたこともあるため、リラックスした様子だった。

 札幌での面会時は職員が1人付き添っていたが、今回は2人の職員が付き添っていた。田中さんは「20年以上通っているが、他の収容者で職員が2人も同席したことはない。ノカルドさんの面会を監視するためでは」と推測した。職員は、記者や田中さんとノカルド氏とのやりとりをメモに取っていた。

 ノカルド氏の現在の所持金は「1万2千円」だという。今の施設で最も高価な出費は、施設が指定する国際電話用のカード。「1枚1千円で、これまでに2枚買った」。電話番号を暗記している故郷の母親に電話しているという。他の電話番号は、取り上げられたスマートフォンの中でわからないという。

 「カード1枚で18分しか話せないから、母に4回電話しただけだ。10月下旬が自分の誕生日だけど、母はこちらに電話できないから、こちらから電話する。そのためにもう2千円分買うつもりだ」と話した。

 ノカルド氏によると、今は20畳ほどの大部屋に1人で収容されているという。「テレビはあるけれど、全部日本語でわからない。退屈だ」と話した。

 田中さんが差し入れしてほし…

この記事は有料会員記事です。残り665文字有料会員になると続きをお読みいただけます。