将棋の第92期棋聖戦(産経新聞社主催)で、史上最年少でのタイトル防衛を遂げた藤井聡太棋聖(19)=王位・叡王と合わせ三冠=の就位式が10日、東京・台場のホテルで開かれた。棋聖防衛でタイトル通算3期獲得となり、最年少での九段昇段も果たした藤井棋聖は「この経験を生かして、来期により良い将棋をお見せできるように精進してまいります」と話した。
初めての防衛戦五番勝負の相手は、前期に藤井三冠が棋聖を奪った渡辺明名人(37)=棋王・王将と合わせ三冠=で、3連勝で退けた。
就位式に主催者としてあいさつした日本将棋連盟会長の佐藤康光九段(52)は、勝負を決めた第3局について「終盤で△7一飛という絶妙手があった。藤井さんは直前の手を読まれていなかったようですが、見事な瞬発力で切り返した。スポーツに例えるとフルマラソンを走っていて残り100メートルを10秒を切って走るような感じ。すばらしい妙手、好手が続出した名局だった」と称賛した。
藤井棋聖は謝辞で「今回の棋聖戦は私にとって初めての防衛戦でしたが、そのことで力んでしまわないように、前期と同じく、挑戦者の気持ちで臨めればと思っていました。渡辺名人との五番勝負はどれも際どい将棋で、3連勝は望外の結果だったと思います。特に第3局は中盤からバランスをとるのが難しい局面が続き、印象に残っています」と述べた。(村上耕司)
タイトル戦など続く対局「1局ごとに新しい発見がある」
棋聖就位式の終了後、藤井聡太棋聖は記者会見に臨んだ。一問一答は次の通り。
――就位式を迎えた気持ちを改めて。
「前期の棋聖戦は初めてタイト…
- 【視点】
将棋の公式戦が行われる将棋会館の売店の目玉商品の一つに、棋士の揮毫が入った扇子があります。通常は、タイトルを取るような活躍をした棋士のものが作られますが、藤井聡太棋聖はデビュー当初から驚異的な勢いで勝ち続けたため、まだ四段の時点で扇子が作
- 【視点】
藤井聡太三冠のすごさは、将棋を指さない人たちにどう伝えればいいのか。佐藤康光九段は「フルマラソンの残り100メートルを10秒切って走るような感じ」と表現しました。(ちなみに佐藤会長自身は「1秒間に1億と3手読む棋士」といわれています)