立憲民主党の枝野幸男代表は10日、岸田文雄首相が株式配当などの金融所得への課税強化について「当面は考えていない」と発言したことを受け、「自分の意思が何も貫けない、自分の意思でものが決まらない政権だ」と批判した。訪問先の埼玉県東松山市で記者団の取材に答えた。
岸田首相は自民党総裁選で、格差是正につながるとして金融所得課税の見直しを打ち出していたが、10日のテレビ番組で「当面は金融所得課税に触ることは考えていない」「そこばかり注目されて、すぐやるんじゃないかという誤解が広がっている」と軌道修正した。
このことについて、枝野氏は同日、さいたま市内での演説でも「総裁選で華々しく言っていたことすら、総理・総裁になったにもかかわらず、決めることができない。変わらない、変われない象徴だ」と批判した。
立憲は次期衆院選に向けた公約として、「株の売買・配当利益などへの金融所得課税の強化」を掲げている。枝野氏はこれまで「富裕層ほど金融所得課税の対象になる所得の比率が圧倒的に多い。ゆがみは変えざるをえない」として、金融所得課税の強化によって増える財源をもとに、賃金の底上げや、医療や介護、教育の充実に取り組む考えを示してきた。11日の代表質問で、金融所得課税など経済政策についての首相の姿勢をただす考えだ。(吉川真布)