第1回「なんで増えねんだ」各地で水揚げ量に異変 イカ刺しも今や高級品

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横山蔵利 東野真和 高橋杏璃
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水産異変 日本の漁業が生き残るには①

 太平洋に面した漁港の街・青森県八戸市。長年全国一の水揚げ量を誇り、市の魚にもなっているイカだが、2019年の水揚げ量はこの40年余りで最低の約1万5千トン。ピークだった1987年の10分の1以下にとどまった。

 中でも、水揚げ量の大半を占めるスルメイカの減少が深刻だ。

 スルメイカは、秋に日本海西部から東シナ海で生まれて北上し、一部が津軽海峡を通って太平洋を下る「秋生まれ」と、冬に東シナ海で生まれて太平洋を北上する「冬生まれ」の2グループいる。

 水産研究・教育機構が昨年12月に公表した資源評価によると、資源量は秋生まれが98年に166万トン、冬生まれが96年に103万9千トンだった。2020年にはそれぞれ、70万8千トンと16万6千トンまで減少。水揚げ量の激減は、冬生まれの減少が大きく影響しているとみられる。

 資源量の減少について、函館頭足類科学研究所の桜井泰憲所長(北海道大学名誉教授)は、海水温の変化などでイカの産卵場所が縮小していると指摘。さらに、「外国船による規制なき乱獲にも原因がある」と推測する。

 実際、水産研究・教育機構によると、秋生まれ群のスルメイカの水揚げ量は19年、日本が1・5万トンだったのに対し、中国は推定で15万トンに上るという。

 八戸漁業指導協会の熊谷拓治会長理事は「以前、海外でイカをとる人は少なく、世界の海で漁ができた。日本がとり方を教え、価値を伝えるうちに、徐々に日本の船が排除されていった」と嘆く。

 資源を守るため、国ごとに漁獲枠の割り当てを決めるなど模索しているが、交渉はまとまっていない。熊谷会長理事は「イカ刺しなんかは、今や高級品となった。このままでは食文化さえ消える」と危惧する。(横山蔵利)

サケも取れない 打開策はあるのか

 岩手県沿岸では秋サケの大不漁が続いている。

 県内のサケの漁獲量は、1980年代に孵化(ふか)事業が盛んになったあと、ぐんぐん伸びた。しかし、90年代の終わりからとれなくなり、東日本大震災で孵化場が被災して放流できなくなったことから、一気に落ち込んだ。

スルメイカだけでなく、サケ漁でも異変が起きています。何とかしようともがく漁協や現場の人たち。どうしたら、昔のような収穫ができるのでしょうか。

 設備が再建され震災前の体制…

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