水産異変 日本の漁業が生き残るには②
北東北の漁場では、とれなくなった魚がある一方、南方の魚がとれるようになり、漁師を驚かせている。
「大船渡の定置網に伊勢エビがかかったって?」
岩手県大槌町で仲買人を30年以上続ける佐々木隆治さん(76)は9月下旬、市場から受けた知らせに耳を疑った。かつては茨城県沖くらいが北限だったが、最近は福島県沖あたりまでとれるようになったという。
地球温暖化による海水温の上昇などで環境が激変している東北の漁業の現状に迫る連載です。2回目では、以前は獲れなかった魚が獲れるようになり、漁業関係者の期待があつまる事例に注目します。
「水温が高くなったせいなのか、海流が変化したのか」と、佐々木さんは首をひねる。しかも、伊勢エビだけでなく、主に南の海にいたり、沖を泳いでいたりする魚が、定置網にかかる例は、最近枚挙にいとまがないという。
例えば、タチウオは連日のよ…