加熱式たばこ、世界最大市場は日本 大手が見据える紙巻きの終わり

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田幸香純、高木真也
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 10月からの増税に伴い、たばこが値上げされた。いつの間にか世界最大の加熱式たばこ市場となった日本で、大手メーカーが見据える「紙巻き」の販売終了時期とは。かつては清涼飲料水などにも力を入れた日本たばこ産業(JT)は、どんな事業戦略を進めているのか。たばこ業界の「今」を追った。

200円だったセブンスター、今や600円に

 東京都品川区のたばこ店、山崎商店を切り盛りする山崎操さん(79)は9月30日の夜、値札の張り替え作業に追われていた。10月1日から、たばこ増税で大半のたばこの値段が変わるからだ。

 紙巻きたばこの増税額は、1箱(20本入り)20円。専売制廃止後の増税は1986年を皮切りに8回目で、200円だったセブンスターは今回の増税後は600円になった。「本当に高くなった」。山崎さんは値札を張り替えながら、つぶやいた。

 店は1838(天保9)年の創業で、ずっとたばこ屋をしてきた。約40年前に建て替えた今の店舗は25平方メートルほどの広さで、約300銘柄を扱う。利用が多い会社員の通勤に合わせて、午前7時から午後9時まで店を開ける。店頭に立つ山崎さんは、店先を歩く子どもたちに声をかけ、地域の見守り役も担ってきた。

 「街でのつながりを大事にして、創業200年を目指したい」と山崎さん。ただ、喫煙者の減少も肌身で感じている。この10年で、知り合いのたばこ屋だけでも5店以上が「売り上げが立たない」などとして閉店したという。

 紙巻きたばこ市場は縮小が続く。日本たばこ協会によると、2020年度に国内で販売された紙巻きは988億本で、1990年度の調査開始から初めて1千億本を割った。ピークの96年度(3483億本)の3分の1以下だ。

 背景には、健康志向の高まりとたばこ規制の拡大がある。

葉たばこ、10年ぶりに廃作希望を募集

 東京都千代田区が2002年、全国で初めて「歩きたばこ」を禁止する条例をつくると、各地の自治体が後を追った。昨年4月には改正健康増進法が施行され、飲食店など屋内は原則禁煙になった。「屋内だけでなく、屋外にも規制がかかる日本は、世界でも特にたばこに厳しい国になった」。日本たばこ協会の畠山信幸事務局長は指摘する。

 国内で唯一、たばこ製造が認められているJTでは合理化も進む。2月、国内たばこ事業で3千人規模の人員削減を発表。今年度末には九州工場(福岡県筑紫野市)などを閉鎖する見通しだ。さらに今夏、作った全量を買い取る国内の葉タバコ農家に対し、10年ぶりに廃作の希望を募った。

 具体的な「紙巻きの終わり」を見据える企業も出てきている。

日本での紙巻き販売、いつ終える方針?

 「マールボロ」「ラーク」を…

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    田幸香純
    (朝日新聞記者=小売り、外食、食品)
    2021年10月11日21時57分 投稿

    【視点】私の周りでも紙巻きたばこから、加熱式たばこに切り替えたという喫煙者がずいぶんと増えました。 加熱式が急拡大したきっかけとして、取材に応じてくれたほぼ全員が上げたのはテレビ朝日系のバラエティ番組「アメトーーク!」でした。2016年に登場芸人