台湾の防空壕10万超をアプリ表示 中国へ対抗姿勢

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台北=石田耕一郎
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 台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統が10日の演説で中国への強い対抗姿勢を示した。背景には、中台統一を悲願とする中国が台湾の防空識別圏(ADIZ)に自国軍機を多数進入させるなど、圧力を強めていることへの危機感がある。蔡政権は防空壕(ごう)の位置情報アプリの運用や軍事予算の増額などの備えを急ぐ。

「物置になっている」との声も

 スマホを操作して台北市中心部を検索すると、画面上に大量の印で埋まった地図が現れた。台湾内政部(総務省に相当)が作り、4月から運用を始めた防空壕の場所を示すアプリだ。国防部(国防省)が8月、空襲警報を使った恒例の防空訓練などを広報した記者会見で改めて紹介した。

 内政部の警政署(警察庁)によると、アプリのダウンロード数は9月末までに238万回。台湾人口の約1割にあたる計算だ。

 台湾では建築関連の法令で、学校や映画館などの施設、マンションや工場など5~6階以上のビルに防空壕の設置が義務づけられており、全土で10万6千カ所余りを数える。日系の建設会社によると、ほとんどが地下に設けられているという。駐車場を兼ねるケースも少なくない。

 中国軍機の防空識別圏(ADIZ)進入が増え始めた昨年、台湾メディアは「実際は物置になっている」といった市民の声を紹介し、警鐘を鳴らした。国防部もこうした現状を念頭に、他部門のアプリを宣伝した可能性がある。

 日本統治時代の防空壕も残る。台北市の博物館敷地内にあるものは地上部分が高さ約7メートル、直径約10メートルの円錐(えんすい)形をしたコンクリート建設物で、台湾総督府の鉄道部幹部用だった。現在は歴史的遺物としてイベント時に限って使われているという。

 10月上旬に妻子と壕を見学していた会社員男性(45)は「中国軍機によるADIZ進入は知っているが、台湾侵攻は中国にとってのコストも大きい。米国や日本も座視しないでしょうから」と話す。

 台湾は軍備増強も急ぐ。

 国防部は今年度、約1兆4千…

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