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西都市長、西都児湯医療センター理事長に辞職勧告

佐藤修史
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 西都児湯地域の救急・災害の拠点病院「西都児湯医療センター」(宮崎県西都市妻)の業績回復の見通しが立たないとして、センターの浜砂重仁理事長に対し、橋田和実市長が辞職を勧告した。市が求める中期目標への取り組みも消極的だとして、10月末での辞職を求めている。

 同センターは公設民営の病院だった2016年、市が設置する地方独立行政法人になり、初代理事長に元宮崎大学教授の長田直人氏が就任。長田氏は常勤医を増やして黒字化を果たしたが、移転新築計画をめぐって前市長の押川修一郎氏と対立し、事実上解任された。

 押川氏は理事長を公募し、昨春、宮崎市で病院経営の実績をもつ浜砂氏を任命した。ところが、押川氏は今年1月の市長選で落選。センター再建を公約に掲げて当選した橋田市長は経営悪化を理由に、移転計画をいったん「凍結」している。

 浜砂氏の理事長就任後、長田氏の続投を望む医師が相次いで辞職。6人いた常勤医が一時は3人に減り、「看板」だった脳神経外科などの手術ができなくなった。西都市地域医療対策室によると、20年度は入院患者数が前年度比53%の1万1597人、救急搬送受け入れ件数が同56%の576件、手術数が同34%の98件。19年度は8600万円の黒字だったが、20年度は1億9600万円の赤字に陥った。

 外部の有識者7人でつくる評価委員会は今夏、昨年度の実績を5段階評価の中間の「B評価」(おおむね順調)と判定しつつ、診療機能の低下や赤字経営、西都市消防本部の救急車搬送の半数が市外に流れている問題などを指摘していた。

 これを受け、橋田市長と浜砂理事長が9月に協議。市によると、橋田市長は市が作ったセンターの中期目標(22~24年度)を示し、脳疾患を中心とする救急患者を積極的に受け入れて経営を健全化するよう求めたのに対し、浜砂理事長は(軽症患者を対象にする)一次救急に力を入れたいと主張し、中期目標に難色を示した。席上、センターが今年、民間から5千万円を借り入れたことを初めて説明したという。

 橋田市長は取材に対し、「浜砂氏とは、市のめざすセンターの将来像を共有できない。巨額の赤字も看過できず、トップを代える判断をした」と語った。

 センターの赤塚剛事務局長は「新病院を建設すれば医師も患者も獲得できる」とし、辞職勧告については「緊急に理事会を招集し、対応を協議したうえで市に回答したい」と話した。

 この問題をめぐっては、市民団体が昨年2月、長田氏の理事長再任を求める嘆願書と3万人超の署名簿を押川氏に提出した。(佐藤修史)