「子ども取り巻く環境に変化ない」大津いじめ事件10年、父親が会見

安藤仙一朗
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 いじめを受けた大津市立中学2年の男子生徒(当時13)が自殺してから11日で10年。この日、生徒の父親(56)が大津市内で会見を開いた。「10年20年経とうが、息子に先立たれた悲しみは変わらない」と話し、いじめを防ぐために学校教育の改善を訴えた。

 「息子の事件と直近のいじめ事件で、起きていることが変わらない」

 父親は冒頭、いじめで子どもが自ら命を絶つ事件が無くならない現状を嘆いた。

 事件をきっかけに2013年、学校に早期発見や報告を義務づける「いじめ防止対策推進法」が施行された。父親は「子どもが法律に変わった」と感じた。「命を落とすのは息子で最後に」と思い続けてきた。

 だが、いじめが最悪の事態を引き起こすケースは後を絶たない。今年3月、北海道旭川市の中学2年の女子生徒(当時14)が公園で遺体で見つかった。市教委は当初、いじめを認めなかったが、報道を受けて第三者委員会で調査を始めた。「10年が経過しても、子どもを取り巻く環境に変化が無い」と沈痛な表情で語った。

 法律ができても、いじめを防ぐ理念が現場に浸透していないと感じるという。「学力向上より多様性を認められる心の教育を最優先すべきだ。いじめの被害者も加害者も、もう生まれて欲しくない」と声を詰まらせた。

 会見には、大津いじめ事件の第三者調査委員会の委員や大津市教育長を務めた桶谷守・池坊短大教授と越直美・前大津市長も同席した。桶谷教授は「教員の多忙化を防ぎつつ、一人ひとりの子どもの尊厳を徹底的に大切にする施策が必要だ」と述べた。

 また、大津市教委は11日、始業前に職員全員が黙禱(もくとう)した。島崎輝久教育長は、「事件を忘れてはならない」と職員に訴えた。(安藤仙一朗)